化学物質過敏症(環境病)をめぐる動き(2004年)
最近の動き 2005年 2004年 2003年 2002年 2001年
 
喘息の児童生徒、最高を更新
   文部科学省が12月16日に発表した今年度の学校保健統計調査によると、抽出調査した全国の幼稚園、小、中、高校の計約115万人のうち、喘息の子どもの割合は、小学校で3.1%、中学で2.4%、高校で1.5%で、小、中、高校で過去最高を更新した。幼稚園は1.3%で、前年度より0.2ポイント減少した。(文部科学省のホームページ)
 
喫煙でIQ低下
   スコットランドの科学者グループが、たばこが知能指数(IQ)を低下させることを発見した。12月11日発売の英科学誌ニュー・サイエンティストに研究結果 が掲載される。同グループは2000年〜02年、64歳の計465人に知能検査を実施。既に11歳の時に受けていたテストと比較した。そのうち半数は成人後に喫煙者となっていた。喫煙者は禁煙した人や全く喫煙経験のない人に比べ、五つの認知テストで劣っていた。直接の原因は不明だが、高齢期の脳細胞がたばこの煙に含まれる化学物質による悪影響を受けやすいためとみられている。(12/9時事通)
 
長野、県施設の敷地内を全面禁煙
   長野県は12月1日から、県庁や保健所など県施設の建物内だけでなく敷地内も全面 禁煙とした。小中学校の敷地内を全面禁煙とする自治体は増えているが、長野県によると、県施設の敷地内まで全面 禁煙とするのは異例。建物内は2003年9月から全面禁煙を実施していた。文化会館や県営球場など計24施設は利用者が料金を支払っているため、受動喫煙に配慮した形で喫煙スペースを設置できる。(12/1共同通 信)(長野県のホームページ)
 
もみ殻焼きの煙に、喘息引き起こす化学物質
   稲刈り後の稲わらやもみ殻を燃やしたときに出る煙の中に、喘息の発作を引き起こす化学物質が含まれていることが、秋田大学医学部の臨床検査医学教室の萱場広之・助教授らによる研究で明らかになった。きっかけは、地元の喘息患者からの相談。稲刈りの時期(9〜10月)、発作による受診が急増している。もみ殻から出た「ちり」の抽出液を分析すると、細菌内毒素(エンドトキシン)が含まれており、体内でアレルギーを引き起こす「好酸球」を活性化させていた。また、ちりが飛ばない地域でも喘息の発作が起きている実態から、もみ殻焼きの煙も分析したところ、アセトアルデヒドやホルムアルデヒドなどが検出された。(11/29付朝日新聞)
 
湾岸戦争症候群「化学兵器が原因の可能性大」の報告書
   1991年の湾岸戦争の帰還兵数十万人が原因不明の体力低下や神経症状を引き起こす「湾岸戦争症候群」について、米復員軍人省の調査諮問委員会は11月12日、「化学兵器のような神経毒性物質との接触が引き起こした可能性が高い」とする初めての報告書をまとめた。政府による「ストレス説」を否定し、カウンセリング主体の対処方針を変え、早急に対症療法を確立するよう同省に勧告した。症状との関連性が考えられる物質としては、米軍がイラク軍の兵器貯蔵所を破壊した際に浴びた神経ガス・サリンのほか、生物化学兵器対策で投与されたワクチンや薬品類を挙げた。主要因としては挙げなかったが、今後の検討対象として、劣化ウラン弾や油田火災に伴う化学物質、現地での感染症などを挙げた。報告書を受け、同省は、兵士や家族の健康管理と原因解明のため、今後4年間で6000万ドル(約65億円)を支出する方針を明らかにした。(11/13付読売新聞)
 
隣が喫煙車だと禁煙車でも「煙害」
   新幹線などに乗った時、禁煙車ではあっても喫煙車の隣の車両では、たばこの煙による粉じんの害を免れないことが、東京大大学院医学系研究科の中田ゆり研究生らの調査で明らかになった。喫煙車がほぼ満席だと、隣の禁煙車でも最大で法定基準の3倍近い粉じん濃度を記録。禁煙車に挟まれた禁煙車や、全面 禁煙にしている私鉄などで大幅に低い数値だったのと対照的だった。(11/13付中日新聞)
 
アレルギー疾患で実態調査 学校の対応を検討、文科省
   11月9日に初会合を開いた文部科学省のアレルギー疾患を持つ子どもについての委員会は、アレルギー疾患の子どもの人数や学校による対応などの実態調査を始めることを決めた。全国の公立の小、中、高校を対象に12月から実施、来年3月末までの取りまとめを目指す。対象は、アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、アレルギー性の鼻炎や結膜炎など6項目。空気清浄機や温水シャワーなどの設備の整備状況に加え、給食時に持参の弁当を認めるなどの配慮をしているか、保健室を薬の保管場所として提供しているかなどを調べる。また、疾患を持つ子どもの保護者を対象に、学校にどのような対応を望むかも調査する。(11/9共同通 信)
 
携帯電話10年以上使用で脳腫瘍リスク2倍以上
   スウェーデンの世界的な医学研究機関、カロリンスカ研究所は10月13日(現地時間)、携帯電話を10年以上使っていた人に脳腫瘍の一種である「聴神経鞘腫」の発生の危険が高まることが分かったと発表した。聴神経鞘腫の患者150人と健常者600人に聴き取り調査を行なったところ、携帯電話を10年以上使用してきた人は、聴神経鞘腫の発生が、使っていない人のほぼ2倍だった。携帯電話を常に左か右の同じ側で使っている人では、4倍近くだった。利用期間10年未満のユーザーでは、とくに増加はみられなかった。携帯電話の種類はアナログ式に限った調査で、デジタル式は使用期間が長くないため、関係は不明としている。携帯電話の利用と聴神経鞘腫の発生との関連を結論づけるには、なお詳しい研究が必要としている。(10/14Wired News)
市販殺虫剤の使用で有機リン系有害物質を許容量の85倍摂取の恐れ
   有機リン系のジクロルボスを含む市販の殺虫剤について、東京都が呼吸による摂取量 を調べたところ、使用法によっては、世界保健機関(WHO)の示す1日許容量 の数倍〜85倍に上る危険があることが分かった。都は「子供などへの影響は大きく、中毒を起こす危険性もある。早急に使用法を見直すべきだ」として、医薬品として承認をした厚生労働省に、安全対策を緊急要望した。ジクロルボスは、ゴキブリ、ハエなどの殺虫剤として普及している。毒性が強く、吸い込むと神経障害を起こす恐れがあり、発がん性も指摘されている。殺虫剤には、天井からつり下げたり、壁につけたりする家庭用と、倉庫などでファンを使って拡散させる業務用の2種類がある。国内では製薬会社など5社が販売し、昨年9月までの1年間では計約585万個が売れた。都は、つり下げ型については21日間の室内濃度を、ファン付きは初日に8時間噴霧後、13日間の室内濃度を、それぞれ測定。つり下げ型では、子供の場合はすべての日で摂取量 が許容量の28〜10倍、大人も13〜3.4倍になった。ファン付きは、初日に限ると、子供で85倍、大人も38倍となり、許容量 を下回ったのは、子供は噴霧から7日後、大人は5日後だった。都は「製品によっては、2〜3カ月の効果 をうたっているものもあり、長く使うと、抑うつ、食欲不振などの症状が出る恐れもある」としている。(10/20付読売新聞報道)(東京都のホームページ
 
浜松市内の教室のホルムアルデヒド、半数以上が基準超
   静岡県浜松市教委は18日、市内の幼稚園、小中学校の半数以上の教室でホルムアルデヒドが国の基準値を超えていたと発表した。市教委では、定期的に窓を開ける通 常の教室の使用状態で実施した2回目の検査ではすべて基準値を下回ったことから、安全に問題はないとしている。7月に市内120の幼稚園、小中学校の計403室を対象に、窓を閉め切った状態で検査した結果 、211室でホルムアルデヒドが国の基準値を超え、3室でトルエンが基準値を超えた。ホルムアルデヒドの最高値は市内小学校の音楽室の0.22ppm。(10/19付毎日新聞報道)
 
大阪府が学校や図書館などの「統一マニュアル」策定へ
   大阪府は5日、「子どものためのシックハウス症候群対策マニュアル」を今年度中に策定することを決めた。子どもが利用する学校、保育所、図書館など幅広い施設で統一した対策に取り組む方針で、都道府県では初の試みという。マニュアルでは、化学物質濃度の測定法や建材選びを一本化し、換気の方法や殺虫剤使用時の留意点などについても明記。▽学校での濃度測定のノウハウを、教委の所管外の保育所や図書館などに応用できる▽学校改修時の建材選びで、建築都市部の情報を活用できる―などの効果 を期待している。市町村にもマニュアルの利用を呼びかける。(10/6付読売新聞報道)
 
旭川市の公務災害認定却下
   2001年、旭川市第2庁舎の改修直後にシックハウス症候群とみられる症状になったが、公務災害認定申請を却下された同市の女性保健師4人が、この決定の取り消しを求め、地方公務員災害補償基金道支部の審査会に不服審査を請求することを決めた。4人は化学物質過敏症との診断を受け01年4月、公務災害認定を同支部に申請。同支部は長期間、高濃度のトルエンにさらされた状況は認められないとし「本人の素因(体質)が原因にあると考えられる」として今年8月、「公務外」とする決定を通 知。4人は、発症前の健康状態からみて原因が「本人の素因」とは考えにくいと反論。@化学物質過敏症に対する「医学的知見」が専門医による知見とは異なるA判断基準に「労働環境における化学物質の許容濃度」を用いているが、職場の空気測定の結果 が許容濃度を超えなかったことだけを判断基準とするのは不適切―などを主張する方針。(9/29付北海道新聞報道)
 
小学生のぜんそくと車の関係調査へ
   車の排ガスによる大気汚染とぜんそくなどの因果関係を探るため、環境省は2005年度から幹線道路沿いなどの小学生計約1万2000人を対象にした大規模な「局地汚染」調査を5年計画で実施する方針を決めた。計画では@昼間の交通 量が4万台以上ある幹線道路沿道地区Aその後背地区B対照的な田園地区−−の計40校を選定。3学年程度を対象に、ぜんそく症状の有無などを質問票で尋ね、呼気中の一酸化窒素濃度の測定や血液検査をする。 (9/29共同通信報道)
 
EU、玩具へのフタル酸エステル類禁止
   欧州連合(EU)の競争理事会は24日、子供の健康に有害だとして、塩化ビニールを柔らかくする軟化剤として使われているフタル酸エステル類6種類のおもちゃへの使用を禁止する決定をした。フタル酸エステル類は、おもちゃをなめたり、さわったりすると徐々にしみ出し、肝臓や腎臓に障害を引き起こしたり、環境ホルモンとして作用する疑いが指摘されている。フタル酸ジエチルヘキシル(DEHP)など3種類はあらゆるおもちゃで、フタル酸ジイソノニル(DINP)など3種類は3歳以下の幼児を対象にしたおもちゃで、使用が禁止される。競争理事会の決定は欧州議会の批准を経て約1年後に実施される予定。 (9/25共同通信報道)
 
幹線道路近くの住人、肺がん・胃がんの発生率高い
   幹線道路から50m以内に住んでいる人は肺がんや胃がんになるリスクが高いことが、千葉県がんセンター研究局疫学研究部の三上春夫部長らの調査で分かった。男性の肺がんで1.76倍、男女の胃がんで1.68倍、発生率が高いという。三上部長は「自動車の排ガスに含まれる有害成分が関与しているとみられるが、胃がんでもリスクが高くなっているので、単純に吸入だけの影響ではないようだ」と話している。(9/24付毎日新聞報道)
 
「化学物質との関係不明」と住民敗訴
   東京都調布市立調和小学校の新校舎で児童の一部がシックハウス症候群とみられる症状を訴えた問題をめぐり、住民1人が「市長が建設業者に賠償請求しないのは違法」として、工事代金の支出差し止めなどを求めた訴訟の判決で、東京地裁は9日、請求を棄却 した。鶴岡稔彦裁判長は「シックハウス症候群や化学物質過敏症という 概念は医学的に確定していない」と指摘。「児童の症状と化学物質との法的な因果 関係は断定できず、業者に賠償責任はない」と判断した。(9/9共同通信報道)
 
「解剖実習で化学物質過敏症に」と元医学生が大学を提訴
   「解剖学実習で使うホルマリンで化学物質過敏症になり、医師の道を絶たれた」として、東海大と山口大の医学部を退学した30代の女性が7日、両大に計1億円の賠償を求めて東京地裁に提訴した。解剖学実習で化学物質過敏症になった学生が大学の責任を問う訴訟は初めてという。訴状によると、女性は東海大医学部生だった99年4月、解剖学実習の際にホルマリンに接した後、のどの痛みや皮膚のかゆみなどに見舞われた。症状は改善せず、00年3月に退学した。01年4月に山口大医学部に編入した後も、解剖学の実習中に意識を失ったり、目の痛みなどに苦しんだ。女性は02年2月、「多種類化学物質過敏症」と診断されたため、ホルマリンに触れずに実習を受けられるよう大学に要望したが、十分な対策がとられず、04年3月に同大学も退学した。女性側は「大学によってはホルマリンの濃度を下げたり、アルコールに切り替えているのに、両大は安全配慮義務を怠った」と主張している。(9/8付毎日新聞報道)
 
東京都調布市の小中校8校でホルムアルデヒド基準超
   調布市が3日発表した市内の学校の定期検査結果によると、ホルムアルデヒド濃度が、5小学校、3中学校の計8校で、国の基準値を上回ったことが分かった。市教委は同日、臨時校長会で教室の換気を徹底するよう指示した。基準値を超えた学校で9月中にも再検査を実施する方針。検査は19小学校(改修中の八雲台小を除く)、中学校8校の計27校79カ所で、8月17日から29日までの13日間実施した。(9/4付毎日新聞報道)
 
都立学校259校中43校で基準超
   7〜8月に都立学校259校のホルムアルデヒド、トルエンの濃度を測定調査したところ、43校・76教室で基準値を超えたと、都教育庁が9月2日に発表した。基準値を超えた教室は使用を中止して換気等の対策を行って再測定を行った結果 、41校・73教室で基準値を下回った。残りの2校・3教室は、換気装置の設置等を実施後、再測定で基準値を下回ったことを確認してから使用を再開する。(都のホームページ)
 
杉並病で初提訴
   杉並中継所の元周辺住民の50代の女性が「化学物質過敏症を発症し仕事ができなくなった」として、都に約1億円の損害賠償を求める訴訟を1日、東京地裁に起こした。杉並病をめぐる訴訟はこれが初めて。訴状によると、女性は1996年の試験操業開始直後から呼吸困難やけいれんなどに苦しむようになった。提訴した女性を含む周辺住民は97年、同時期にのどの痛みや視力低下などを訴え「圧縮プラスチックからの有毒物質による大気汚染が原因」として、国の公害等調整委員会(公調委)に裁定を申請。公調委は2002年の裁定で、女性ら14人について症状と中継所との因果 関係を認めた。都は中継所から半径300メートル以内の住民で、指定された症状のある人に損害賠償する制度を発足させたが、女性は「過敏症による後遺障害に対する賠償が期待できない」として申請しなかった。(9/1共同通 信、9/2付毎日新聞報道)
 
携帯注意し逆ギレされる
   仙台市のJR仙石線の車内で先月、優先席で携帯電話を使っていた男を注意した東北大理学部の男性助手(39)が「逆ギレ」した男に服を破られていたことが1日、分かった。男性にけがはなかったが、仙台東署が暴行容疑で捜査している。男性は理論物理学が専門で、携帯が出す電磁波の影響を研究しており「JRは携帯禁止の車両を設けるべきだ」と訴えている。これまでも数回、車内で携帯使用を注意して逆上された経験があるという。男性によると、8月31日午後7時前、帰宅途中、携帯電話を操作している50歳ぐらいの男に気付き、電源を切るよう注意した。男が「通 話してないからいいだろう」と居直ったため、男性は「通話しなくても電波は出る」と説明したが、男に胸ぐらをつかまれ、シャツが破れたという。(9/1共同通 信報道)
 
公務災害不認定の2職員が不服審査請求
   改修工事後の図書館で勤務し、化学物質過敏症になったのに公務災害を認めないのは不当とし、吹田市職員2人が30日、公務認定しなかった地方公務員災害補償基金府支部に公務外処分の取り消しを求める不服審査請求をした。請求書などによると、2人は改修工事が終わって02年4月にオープンした市立中央図書館北千里分室で勤務。同年4月中旬から目やのどに痛みを覚え、シックハウス症候群による化学物質過敏症と診断された。また、図書館のオープンに合わせて市が行った化学物質の測定検査で、同症候群の原因物質とされるトルエン濃度が、厚生労働省の指針値の5・4倍に上ることも判明。同年7月、同府支部に公務災害認定の請求をしたが、今年7月、同支部は「発症は本人の素因によるもので、公務が有力な発症原因とは認められない」として請求を棄却した。(8/31付毎日新聞報道)
 
化学物質でラットが多動
  に  現在広く使われている化学物質が、自閉症や注意欠陥多動性障害(ADHD)の特徴で、落ち着きなく動き回る「多動」を引き起こすことが、産業技術総合研究所と国立環境研究所のラットを使った実験で10日までに分かった。産総研の増尾好則研究員は「これらの物質は経口摂取でも有害物質から脳を守る血液脳関門を通 り抜ける。実験結果を直接人には当てはめられないが、環境中の化学物質がADHDなどに関与している可能性がある」と指摘している。増尾研究員らは、ビスフェノールA(BPA)やフェノール類、フタル酸エステル類、農薬などを、生後5日のラットの脳に注射。独自に開発した装置を使い、14種類の物質が20マイクログラムの量 でラットに多動を引き起こすことを突き止めた。BPAは0.2マイクログラムという微量 でも多動が現れた。BPAなどの投与で多動になったラットの脳では、ドーパミン神経の発達阻害が見られた。ADHDなどのメカニズムは不明だが、ドーパミン神経の成長が阻害されているとの見方があるという。増尾研究員らは、今後、数十種類の化学物質について、多動を起こすかどうか調べることにしている。(8/26付毎日新聞報道、9/10共同通 信報道、産業技術総合研究所のホームページ)
 
住宅地での農薬散布、実態調査へ
   環境省は21日、住宅地の公園や街路樹などで散布される農薬について、周辺住民への健康影響を2005年度から5カ年計画で実態調査する。調査の結果 、健康被害が想定される場合は、農薬が飛散しないよう散布器具の構造基準を定めるなど安全対策を検討する。05年度予算概算要求に関連経費を盛り込む。(8/21時事通 信報道)
 
浜松市が農薬「不適正」散布を認める
   浜松市が街路樹や公園、保育園で国・県の基準を超える希釈倍率で農薬を使っていると、市民団体「農薬汚染を監視する会」が指摘していた問題で、市は10日、同団体が挙げた28カ所のうち7カ所で、農作物病害虫防除基準などで適用のない害虫、樹木、基準超過の希釈倍率での不適切な散布があったと認めた。(8/11付静岡新聞報道)
 
千代田区が新築住宅などの測定義務化
   シックハウス症候群対策として、東京都千代田区は、区内で新築・大規模改築される住宅などについて、建築主に完成後の室内濃度測定と入居者への結果 公表を義務づける指導要綱を制定する方針を固めた。10月からの施行を目指している。対象物質は、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン。完成時に建築主に濃度測定をさせ、測定結果 を入居者に公表するよう義務づける。必要な経費は建築主が負担する。公表方法などについては今後、検討していく。対象は住宅やマンションのほか、学校や保育所、高齢者施設、病院、ホテルなどの長期間滞在型施設。要綱のため罰則はないが、区は「測定結果 を見て入居を決断できる仕組みをつくる」と話している。(8/7付朝日新聞報道)(千代田区のホームページ)
 
環境省、塩ビ原料などの危険性調査へ
   環境省は27日、人の健康への影響が懸念されるとしてリスク評価の対象とする化学物質に、食品から検出されることもあるアクロレイン、ピリジンと塩化ビニール樹脂の原料などに用いられる1、2-ジクロロエタンの3物質を選んだ。同日開いた中央環境審議会の専門委員会に報告。今後、食物や飲料水を通 じた人への影響について調べるとともに、大気や河川、地下水の濃度を減らす方策も検討する。アクロレインとピリジンは化学物質原料として生産される一方、肉を焼いたときに微量 が生成される恐れがある。高濃度を投与したラットの死亡率が高まるなどの報告がある。塩化ビニールの原料などに使われる1、2−ジクロロエタンは、ラットやマウスで発がん性を示す複数の実験報告が出ている。またこれとは別 に、藻類や甲殻類に対する毒性などの実験報告をもとに、生態系への影響が懸念される物質として、プラスチック原料のビスフェノールAやニトリロ三酢酸など5物質を選んだ。(7/27共同通 信報道)
 
ビスフェノールA、魚類への環境ホルモン作用を確認
   環境省は26日、プラスチック原料などに使われているビスフェノールAについて、2世代に及ぶメダカへの影響を実験した結果 、魚類に対する内分泌かく乱化学物質(環境ホルモン)の作用が確認されたと発表した。ビスフェノールAは、国内河川で広く検出されており、同省は「生態系への影響を防ぐため、使用量 を減らす必要がある」としている。ただ、ラットを用いた試験では明らかな環境ホルモン作用は認められず、同省は「人のホルモン作用をかく乱する恐れは少ない」とみている。魚類への環境ホルモン作用が確認されたのはノニルフェノールとオクチルフェノールに加え3物質目。(7/26共同通 信報道)
 
解剖実習のホルマリンで1000件以上の健康被害
   大学の医学部や歯学部の解剖実習でホルマリンを使った学生に、アレルギー症状悪化や、目やのどの痛み、皮膚の異常などの健康被害が、1998年度から昨年度までの6年間で計1015件に上ることが13日、文部科学省の調査で分かった。今年6月、国公私立大の延べ106校を対象に調査した。昨年度には、化学物質過敏症の診断を受けた医学部生が、学業を続けるのが困難として退学したケースもあった。文科省では2001年4月、解剖実習の際には、マスクや手袋を用意するよう各大学に通 知している。(7/14付読売新聞報道)
 
「喫煙対策不十分」の職場に賠償命令
   「同僚のたばこの煙で体調を崩したのは、職場の喫煙対策が不十分だったため」と、東京都江戸川区職員(36)が区に慰謝料など31万円余の支払いを求めた訴訟で、東京地裁は12日、区に5万円の支払いを命じた。土肥章大裁判長は「職員を受動喫煙の危険性から保護する配慮義務に違反した」とした。受動喫煙を巡る訴訟では雇用主が喫煙対策を強化することで和解したケースはあるが、金銭の支払いが命じられたのは初。(7/13付毎日新聞報道
 
農薬に頼らない害虫対策指針、国が策定へ
   農水省は3日までに、農薬使用を抑えた農業を推進するため、天敵の昆虫や防虫ネットなどの使用を組み合わせ、農薬散布と同じ効果 を出す「総合的な病害虫管理」(IPM)のガイドラインを、本年度中に策定する方針を決めた。国は、減農薬農業を支援する方針を打ち出しているが、生産現場からは「具体的方法が分からない」「効果 を信用できない」との声も多く、国自ら減農薬実践のモデル手法を提案することにした。ガイドラインは冊子にして、都道府県や農業団体に配る。(7/3共同通 信報道)
 
携帯電話が不妊の原因に?
   携帯電話を常に持ち歩く男性は、そうでない男性より精子の数が最大で30%少なく、子宝に恵まれる可能性が減っているという研究結果 がこのほど明らかになった。27日付の英紙サンデー・タイムズが報じた。携帯電話をベルトのホルダーやズボンのポケットにいつも入れている男性は、リスクが最も大きいという。(6/27時事通 信報道)
 
電磁波の健康影響「根拠ない」と熊本地裁
   熊本市の2地区にKDDIが建設した携帯電話の電波を中継する鉄塔をめぐり、倒壊や電磁波による健康被害の危険性があるなどとして、両地区の住民がそれぞれ同社を相手取り、鉄塔の撤去や計530万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、熊本地裁であった。田中哲郎裁判長は「より多くの電磁波にさらされ、原告らが何らかの健康被害を受けるのではないかと危惧するのに無理からぬ 面がないわけではない」としながらも、「健康に対する具体的な危険が発生すると認めるに足りる証拠はない」と判断」と述べ、原告の請求をいずれも棄却した。(6/25時事通 信報道)
 
松下電器が海外調達先の有害物質を調査
   松下電器産業は21日、海外の資材調達先約1万社を対象に、鉛など有害な化学物質の使用状況を調査する方針を明らかにした。その結果 を基に調達先を選別、2005年4月以降に出荷する製品から、有害物質を完全に排除する。取引の際は契約書のほかに、有害物質を使っていないことを証明する「不使用保証書」の提出を求める。「虚偽の内容があった場合は、取引を停止する可能性もある」(松下電器)としている。既に国内の調達先約5000社については、今年4月から調査を始めている。欧州連合(EU)が鉛、水銀、カドミウムなど6物質を2006年7月から使用禁止にする「電気・電子機器に対する環境負荷化学物質規制」が発効した。松下電器はこの規制を前倒しする形で全世界の調達先に適用する。(6/22付読売新聞報道)
 
大気中化学物質の発がんリスク
   大気中の化学物質による発がんリスクは、大都市とその周辺ほど高いことが、国立環境研究所の調査でわかった。大気への排出量 が多く、発がん性が確認されているベンゼンやホルムアルデヒドなど5物質について、大気中の濃度をもとに試算した。リスクが高かったのは、〈1〉大阪府〈2〉栃木県〈3〉香川県〈4〉埼玉 県〈4〉神奈川県、低かったのは〈1〉鳥取県〈2〉石川県〈3〉富山県〈4〉島根県〈5〉宮崎県(ホルムアルデヒドの測定値がない秋田と山梨、長野、福井の4県を除く)。リスクは、空気を一生吸い続けた場合に10万人当たり、大阪府で9.2人、鳥取県で1.6人のがん発症が増えるとの試算で、たばこを毎日吸う場合の約1000分の1程度。(6/17付読売新聞報道)
 
浜松市、学校での濃度超過を公表せず
   浜松市立小中学校の3割でホルムアルデヒドが国の基準値を超えていたことが分かった。市民団体の情報公開請求で判明した。市教委は「安全性に問題はない」と公表していなかった。昨年8月、市内96の小中学校の教室を対象に測定した結果 、30校でホルムアルデヒドが基準値を超え、6校でトルエンが超えていた。昨年12月〜今年1月の再検査では基準値内だった。市教委総務課は「基準値を上回った学校でも再検査でクリアしており、いたずらに不安を与えてもいけないと考えた」と話している。(6/16付毎日新聞報道)
 
環境省所管施設でシックビル
   新築の職場でシックハウス症候群になったとして、環境省所管の「地球環境戦略研究機関」(神奈川県葉山町)の元契約職員の女性(31)が14日、休業補償を求め、横須賀労基署に労災申請した。この研究所では20数人がシックハウス症候群(または疑い)と診断された。シックハウス症候群を理由とした労災申請は約10件あり、認定されたのは北海道、大阪、愛媛での5件。(6/14共同通 信報道)
 
「病院勤務でCSに」看護師が病院を提訴
   勤務先の病院で化学物質過敏症になり、後遺症に悩まされているとして、大阪市の看護師(49)が11日、病院を経営する日本海員掖済会(東京)に計約2400万円の損害賠償を求める訴訟を大阪地裁に起こした。訴状によると、看護師は1997年8月、大阪掖済会病院(大阪市)のレントゲン透視室内で医療器具の滅菌作業に従事。グルタルアルデヒドを含む消毒剤の蒸気を浴び、当初から口内炎ができたり呼吸が苦しくなったりしたため2001年6月に退職した。その後、化学物質過敏症と診断され、02年に労災療養給付認定を受けたが、現在も目まいや胸の痛みなどの後遺症があるという。看護師側の弁護士は「グルタルアルデヒドによる被害をめぐる訴訟は初めてではないか。後遺症が認められるかどうかが争点」と話している。(6/11共同通 信報道)
 
シックスクール被害元児童が提訴
   東京都調布市立調和小学校で基準の約38倍のトルエンが検出され、化学物質によりシックハウス症候群になったとして、当時の児童4人が4日、同市に計2000万円の損害賠償を求め、東京地裁八王子支部に提訴した。4人は現在、中学1年生(12)から小学4年生(10)まで。原告側代理人によると、4人は2002年9月に旧校舎から新校舎に移って以降、のどの痛みや頭痛を訴え、シックハウス症候群と診断された。原告側は「異常な数値が出ているのに校舎を使わせ、健康被害が発生した。教師の対応も配慮に欠けていた」と主張している。(6/4共同通 信報道)
 
35.9%が過去1年にアレルギーのような症状
   皮膚や呼吸器、目鼻のいずれかでアレルギーのような症状を過去1年間に経験した人は35.9%いることが、厚生労働省の保健福祉動向調査で分かった。アレルギー性の病気と診断された人も14.7%いた。症状経験者は91年の同様調査(34.9%)とほぼ同率。昨年6月、無作為に選んだ約4万1000人を対象に実施し、約3万6000人から回答があった。症状の経験者は政令市などの大都市は39.4%、郡部は31.1%と差があった。(6/4毎日新聞報道)
 
環境ホルモンが疑われる化学物質を洗い直し
   環境省は、98年に作成した環境ホルモン(内分泌撹乱化学物質)と疑われる67物質のリストを廃止し、改めて約1000の化学物質から洗い直す方針を決めた。リストに挙がった物質のこれまでの研究では生殖機能への作用が主だったが、免疫機能への影響など新たな試験の必要性も出てきたことなどから、第三者機関によって随時、物質を選んで試験していく仕組みにする考えだ。(6/2付朝日新聞報道)
 
高校完全禁煙、18都道県に
   都道府県立高校の敷地内完全禁煙を決めた自治体が、少なくとも18都道県に上っていることが30日、共同通 信の集計で分かった。敷地内の全面的な禁煙は2002年4月に和歌山県が初めて実施し、青森、愛知、岐阜、三重、福井、佐賀の各県が既に実施。東京都や秋田、宮城、茨城、長野、徳島、愛媛各県が実施日を決めている。北海道や静岡、島根、高知各県では予定期日を定め、その日までに実施するよう各校に伝えている。埼玉 、神奈川両県は校舎内だけが禁煙。分煙化を進めている自治体でも「将来的には完全禁煙に向かう」(滋賀県)「完全禁煙にするかどうか検討中」(福岡県)としており、敷地内完全禁煙となる地域が増加するのは確実。(5/30共同通 信報道)
 
職場の有害化学物質にマーク義務化へ
   職場での化学物質管理について、厚生労働省の検討会は27日、国連が国際基準として作成したドクロや炎などのマークを導入して危険性を明確にするなど、安全対策の向上を求めた報告書をまとめた。厚労省は、労働安全衛生法の改正で義務付けたいとしている。報告書は、ダイオキシンやシックハウス症候群、アスベスト(石綿)など、化学物質による労働者の健康問題は、化学物質の製造や取り扱いにとどまらず、廃棄物処理施設や事務所にも広がっていると指摘している。(5/27共同通 信報道)
 
園児ら30人が提訴
   新築の園舎で高濃度の化学物質が検出されたのに放置し、シックハウス症候群で精神的苦痛を受けたとして、大阪府堺市東湊町の湊保育園の園児や卒園者30人が21日、同市と建設会社などに計5450万円の損害賠償を求めて大阪地裁堺支部に提訴した。園児らは調停を申し立てていたが、今月7日、不成立に終わった。(4/22付毎日新聞報道
 
札幌市立校7校で基準超
   札幌市教委は16日、市立の小、中、高校と養護学校、幼稚園の336校のうち、昨年夏休みに検査した77校を除く市立学校259校、1276教室について、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼンの4物質の濃度を昨年11月から今年3月にかけ調査し、7校、9教室(ホルムアルデヒド6校、8教室。トルエン1校、1教室)で文部科学省の基準を超える数値が検出された。このうち普通 教室で基準値を超えた1幼稚園の3教室は同日までに換気扇を設置した。同市教委は「幼稚園以外で基準値を超えたのはいずれも特別 教室で、授業前の換気を行えば児童、生徒への影響はない」としている。(4/17北海道付新聞報道)
 
静岡の送電線建設が不許可に
   国土交通省中部地方整備局は15日、中部電力が静岡市への電力の安定供給や東京電力への電力融通 のため申請している、静岡市の安倍川を渡る高圧送電線建設を不許可とすると発表した。同整備局は河川や周辺の景観・環境への影響を指摘したほか「河川内に鉄塔を設け川の縦断方向(斜め)に送電線を上空設置すること」は認められないとした。ただ送電線の建設や安倍川を横断する必要に関しては「認めている」と説明している。中部電は1991年に建設計画を策定。当初は上流への建設が提案されたが、住民が「電磁波の影響がある」と反対。98年に河川敷を斜めに渡る案を決め、2002年10月に同局に河川敷地占用許可を申請した。(4/15共同通 信報道)
 
シックビルの責任めぐり千代田区と都住宅公社が対立
   複数の部屋から厚生労働省の指針を最高で約5倍上回るトルエンが検出された東京都千代田区の複合施設「岩本町ほほえみプラザ」の開設遅延の責任をめぐり、事業主の千代田区と、施工主の都住宅供給公社の対立が続き、区は「オープン延期で約1億600万円の損害を被った」として、近く訴訟や民事調停など法的手段を取る方針を固めた。公社は「区の求めで完工後に実施した追加工事で換気対策が制約された」「区の開設日設定に無理があった」と反論している。(4/4付毎日新聞報道)
 
工場排気のトルエンで住民が発症
   シックハウス症候群と同様の症状を、工場近くの住民が訴えるケースが増えている。このため、東京都が都内約2800の事業所を対象に、化学物質58種類について、昨年3月まで1年間の使用量 と排出量を調べた。その結果、58種類の化学物質全体で見ると、年間使用量 の1.9%にあたる8000tが環境に排出されていた。そのうち最も多かったのがトルエンの2200tで、金属塗装業では、使ったトルエン160tの81%にあたる130tが、印刷業では同2100tの62%にあたる1300tが排出されていた。自動車製造業も590tの29%にあたる170tを排出しており、この3業種で排出トルエンの7割強を占めた。キシレン排出量 も金属塗装業や自動車製造業が多かった。都は、住民の苦情との厳密な因果関係は特定できないものの、「関連性が疑われる」として、今後、各業界に対し、地域住民への説明会を開くよう要請する。都の担当者は「排出の多い業種が明らかになったことで、具体的な対策を取る段階に入った。排出削減のモデルケースを示していきたい」と話している。(3/29付読売新聞報道)
 
化学物質の届け出排出量減少
   環境省と経済産業省は29日、化学物質排出管理法(PRTR法)に基づいて、有害な化学物質の排出量 を工場や店舗が届け出た2002年度の集計結果を公表した。届け出排出量は約29万トンで、01年度分から7%減少。環境省は「不況の影響もうかがえるが、企業の自主的な削減努力が実ったのでは」と評価している。(3/29共同通 信報道)
 
自治体がシックビル予防策
   ▼仙台市は23日、学校や児童館、市民センターなど市有施設の新築、改築時の「シックハウス対策マニュアル」を策定した。各省で対策が異なり、市有施設でも対応にばらつきがあったため、高い水準での一元化を図った。学校に限定したマニュアル策定例はあるが、市有全施設を網羅するマニュアルは全国初という。マニュアルは、施設の設計、施工、完成、備品搬入、使用開始後の各時点で、業者や市が留意すべき事項を明示。完成時と備品搬入時の2回、室内空気中の化学物質濃度検査を行うよう定めた。完成時の検査で基準値を超過した場合、業者が基準値以下にする対策を講じるまで引き渡しを受けない。備品搬入時に基準値を超える部屋があった場合は、基準値以下の部屋から利用開始し、超過した部屋は改善後に使用する。(3/24付河北新報報道)
  ▼横浜市は、市の公共施設の建設や改築の際にシックハウス症候群を防ぐためのガイドラインを策定した。使用建材の制限に加え、備品についてもJIS規格などを参考に放散量 が少ないものを選ぶこととした。施設引き渡し、新しい備品の搬入などに室内濃度測定を行うことを義務づけ。施設内への張り出しなどにより、測定結果 を市民へ公表する。日常管理ではワックスがけなどの際の換気徹底を求め、窓の開け方も細かく指示。厚労省の指針値を超えた場合「施設使用の中止と徹底調査の実施」を明記した。ガイドラインの対象は学校(約520)、地区センター(約200)、地域ケアプラザ(約180)など約1500カ所。(4/8付神奈川新聞報道)
 
住宅性能表示からアセトアルデヒド除外
   国土交通省は15日、住宅の構造や安全性などを第三者機関が評価する住宅性能表示制度の測定対象物質のうち、アセトアルデヒドを除外する方針を明らかにした。2004年度から実施する。アセトアルデヒドの毒性は動物実験では確認されているものの、人体への影響が明確になっておらず、世界保健機関は指針値を0.03ppmから0.17ppmに緩和する方向で検討に入っている。国内の過去の実態調査では0.17ppmに達した住宅がなかったことから、測定物質の対象から除外することにした。(3/16付読売新聞報道)
 
シックスクール訴訟で和解
   大阪市の高校生(19)が「学校が化学物質過敏症に配慮せず、通 学できなくなった」として、入学した中・高校を運営する学校法人啓光学園(大阪府枚方市)に慰謝料1000万円を求めた訴訟の和解が2日、大阪地裁(大鷹一郎裁判長)で成立した。学園側が症状への理解不足を認めて遺憾の意を表し、和解金200万円を支払う。「シックスクール」を巡る初の訴訟は和解で終結した。和解条項には、学園が昨年4月に設置したシックスクール対策委員会で専門家による研修会を引き続き実施し、生徒の教育指導研鑽に努めることも盛り込まれた。家族は和解後の会見で「化学物質過敏症への理解が示されたのは大きな成果 。全国的に同じ症状に苦しむ子どもに対する学校の姿勢が変わることを期待したい」と語った。高校生は今月末に退学、別 の高校編入を検討しているという。(3/3付毎日新聞報道
 
文科省、幼稚園木造化を推奨
   文部科学省は29日、幼稚園舎の木造化を推進する方針を決めた。幼稚園設置基準に木造化の障害となっている表現があることから、自治体や幼稚園を運営する学校法人に対し、「設置基準は木造化を妨げるものではない」とする見解を近く通 知する。シックハウス症候群の心配が少ない木造建築を求める要望が保護者から多く寄せられていることに配慮した措置だ。幼稚園設置基準は、火災などが発生した場合に備える観点から、「保育室の場所は1階を原則として、2階に置く場合は園舎を耐火建築物にしなければならない」と定めている。こうした規定は小・中学校設置基準にはなく、幼稚園設置基準のみにある。(3/1付読売新聞報道)
 
家庭内のほこりから臭素系ダイオキシン
   家電製品に難燃剤などとして含まれ、ダイオキシンと同じ毒性があると指摘されている臭素系ダイオキシンが、家庭内のほこりに含まれているか調べたところ、極めて低い濃度(1gのホコリのうち1000億分の22g)で検出されたケースがあった。環境省は、現時点では特に問題はないとしているが、今後も監視を続けることにしている。(2/27NHK報道)
 
厚生労働省、シックハウス症候群などの「知見」を公表
   厚生労働省は2月27日、「室内空気質健康影響研究会」(座長・宮本昭正財団法人日本アレルギー協会理事長)による、シックハウス症候群や化学物質過敏症についての報告書を発表した。報告書は、厚生労働科学研究などを通 じてこれまでに得られた医学的知見を整理したもの。これによると、シックハウス症候群については「医学的に確立した単一の疾病」というよりも、「問題のある住宅において見られる健康障害の総称」と規定、化学物質のほか、生物的因子など他の因子が発症に関わっているとした。今後、行政において、国民への普及啓発や、医療従事者の関心喚起が必要だとしている。また、化学物質過敏症については、「病態の存在自体を否定するものではない」としながらも、「病態や発症機序について未解明な部分が多い」「医学用語として『化学物質過敏症』が必ずしも適当であるとは考えられない」とし、今後とも研究の推進が必要とした。(厚生労働省のホームページ
 
環境省、MCS研究班の報告書を公表
   環境省は「本態性多種化学物質過敏状態(化学物質過敏症、MCS)」について1997年度設置している病態解明のための研究班による、2001、2002年度の報告書の概要を2月13日に公表した。二重盲検法による発症者に対するホルムアルデヒド負荷試験結果 からは、「微量のホルムアルデヒドの曝露と症状の発現との間に関連性は認められなかった」として、「化学物質過敏症の中には、化学物質以外の原因(ダニやカビ、心因等)による病態が含まれていることが推察された」「動物実験結果 からは、MCSの存在を否定し得なかった」としている。(環境省のホームページ
 
厚労省、シックハウス症候群発症者の自宅を調査
   厚生労働省は、シックハウス症候群の症状を訴える人たちの自宅に出向いて室内汚染状況を測定する大規模な調査に乗り出した。化学物質濃度と症状との関連を調べる全国的な調査は初めて。化学物質だけでなくダニやカビなども総合的に分析するほか、温度、湿度の違いによる地域差も検討する。調査は岸玲子・北海道大大学院教授を主任とする研究班が実施。全国的な傾向をつかむため、札幌、福島、名古屋、大阪、岡山、北九州の6市を選んで調査を進めている。現在は自治体に提出された建築確認申請書類を閲覧して計4000軒程度の新築・リフォーム住宅を無作為抽出し、住民に自覚症状の有無、具体的な換気方法などをアンケートしている。(2/26共同通 信報道)
 
高松市内の8小中学校で基準超
   高松市内の小中学校計8校で、ホルムアルデヒドが国の基準値を超えて検出されたことが24日分かった。検査は夏休み中に数日間、部屋を締め切った状態で実施。児童・生徒が出入りする「通 常の状態」で行った再検査では、8校とも下回った。市教委は児童らの安心感などに配慮し、来年度から換気扇を設置する対応に乗り出す。(2/25付四国新聞報道
 
人体へのダイオキシン蓄積、都市と農漁村で差なし
   環境省は19日、ダイオキシン類の人体への蓄積状況に関する初の全国調査の結果 を公表した。血中の脂肪1g当たりに含まれるダイオキシン類の濃度は平均27pg(pgは1兆分の1g)で、住んでいる地方や、都市と農村、漁村など居住地域による差はほとんどなかった。同省は「ダイオキシン類は、魚をはじめとする食事からの摂取が大半だからではないか」と指摘している。(2/20毎日新聞報道)
 
学校の検査項目に2物質を追加
   文部科学省は学校の検査項目に、新たにスチレンとエチルベンゼンの化学物質を加えることにした。文部科学省は一昨年2月、ホルムアルデヒドなど4物質について教室などで室内濃度を検査し、国の指針値を上回った場合には、換気などの対策を進めるよう指導した。文部科学省が全国で50校を抽出して調査したところ、スチレンが277か所中1か所で国の指針値を上回ったほか、エチルベンゼンは指針値にやや近い値が出たところがあった。スチレンが指針値を上回ったケースは、図工の授業で使われた接着剤が原因だった。このため文部科学省は、これら2つの化学物質について、校舎の建材のほか教材などにも含まれていないか確認し、使用されていた場合は、必ず検査を行うよう各学校を指導することにしている。(2/11NHK報道)
 
50校調査では異常なし
   文部科学省は10日、化学物質の空気中濃度を全国の小中学校で測定した結果 、厚生労働省が定めている基準を超えた学校はなかったと発表した。調査は新築・改築、全面 改修、築5年、10年、20年の小中学校を10校ずつ計50校選び、2000年12月から01年2月まで実施。エチルベンゼン、スチレン、テトラデカン、クロルピリホス、ダイアジノン、フタル酸ジ―n―ブチル、フタル酸ジ―2―エチルヘキシルの七つの化学物質について教室や保健室、体育館などでそれぞれ測定した。(2/10共同通 信報道)
 
全国の河川や海で防水スプレー用の有害化学物質検出
   環境省は9日、衣類の防水スプレーなどに使われた有害化学物質、ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)とペルフルオロオクタン酸(PFOA)が、北海道から沖縄まで20カ所の調査地点すべてで見つかったと発表した。PFOSが1リットルあたり最高24ng(ngは10億分の1g)、PFOAが同100ngで、同省は直ちに健康には影響しないとしている。両物質は90年代なかばまで撥水(はっすい)剤のほかフライパンのフッ素樹脂加工などに使われたが、米国で残留性や毒性が問題となり、日本でも大手化学メーカーの一つが製造を中止しているという。 (2/10付朝日新聞読売新聞、その他報道)
 
宅地や家庭菜園も土壌汚染
   宅地や家庭菜園でも、土壌が汚染されている場合があることが、五洋建設系の環境ビジネス会社のdomi環境(栃木県西那須野町)がまとめた調査でわかった。同社は03年7月から、一般 家庭から庭や家庭菜園などの土を送ってもらい、カドミウム、水銀、セレン、ヒ素、鉛、クロム、銅、亜鉛を対象に有料で分析している。03年11月までに首都圏を中心に集めた134件の土を分析した。その結果 、全体の2%にヒ素、10%に鉛、13%にクロムの汚染がある可能性が高かった。中には汚染濃度が高く、誤って口に入れた場合には人体に悪影響を及ぼす恐れのあるものもあった、という。ヒ素はかつて殺虫剤などに使われた残留物の可能性があ る。鉛やクロムは、宅地造成に使われた土に含まれたり、宅地がかつて工場用地だった場合が考えられる。カドミウム、水銀、セレンは汚染の可能性がほとんどなかった。(2/8付朝日新聞報道)
 
東京・調布市教委が一転して開示へ
   東京都調布市立調和小学校のシックスクール問題で、同市教委は6日、今後は親が個人情報の開示請求をしなくても、口頭の申し出だけで、その場で児童の健康診断結果 を開示することを決めた。市教委は来週にも、同小の全保護者に対応の変更を伝える通 知を出す。親子関係を確認するため求めていた住民票の提出も不要とする。(2/7付読売新聞報道)
 
保護者への児童健診結果、調布市が「開示請求」求める
   東京都調布市立調和小学校のシックスクール問題で、健康診断結果 の通知を希望する保護者に対し、同市教委が個人情報の開示請求をするよう求めていたことが5日、分かった。保護者からは「我が子の健康診断の結果 を知るのに、こんな手続きが必要とは」と疑問の声が上がっている。同小では、一昨年夏に完成した新校舎から、国の指針値を大幅に超えるトルエンなどが検出され、多数の児童が体調不良を訴えた。同市教委は、大阪のNPO「シックハウスを考える会」の医師と学校医に委託し、同年10月と昨年3月、同10月の3回にわたり、同校の全児童の健康診断を行った。1回目の健診後、市教委は「全校児童の約2割が、シックハウス環境の影響を強く受けたと見られる」との結果 を公表。その一方「親に通知が必要という医師の指示がなかった」として、1、2回目の健診については、個別 の健診結果を保護者に通知しなかった。これに対し、体調不良を訴えた計9人の児童の保護者が「健診の結果 を知りたい」と要望。しかし、市教委では「健康診断の結果は個人情報にあたる」として、開示請求の手続きを要求した。このため、保護者らは昨年8月から9月にかけ、市の個人情報保護条例にもとづき「自己情報」の開示請求を行い、2週間後、医師が記入した我が子の「個別 検診表」と「所見」のコピーを交付された。請求の際、親子関係を証明するために住民票の提出も求められたという。(2/6付読売新聞報道)
 
金沢市が農薬散布への助成再開へ
   アメリカシロヒトリやチャドクガなどの害虫駆除費用の助成対象を、環境汚染や化学物質過敏症の住民への配慮などから3年前に「農薬散布」から「捕殺」へ切り替えた金沢市の「都市樹木害虫防除検討会」が3日開かれ、農薬散布への助成を限定的ながら再開することを認める報告書の最終案がまとまった。金沢市は01年まで約30年にわたって農薬散布助成を続け、町内会単位 などで散布が行われてきた。しかし、農薬被害についての市民団体の訴えなどもあり、01年度から農薬を使わない「捕殺」を対象にし、その費用の4分の3を助成してきた。報告書は、捕殺防除が基本▽やむを得ず薬剤散布をする場合は、発生場所が高所や足場の悪いところなど、捕殺が困難なことが条件で、散布は必要最小限▽初期防除徹底を啓発――などとした。また、散布マニュアル案も示し、周辺住民に散布を周知し、合意を得る▽通 学路がある場合、通学時間帯の散布はしない――などを明記した。市は01年度からの捕殺の実施状況を見て高い場所の駆除などが困難と判断し、薬剤散布も含めた助成制度を前提に、学識者や地元住民らによる検討会を昨秋発足させていた。市は「昔に戻るのではなく、散布は必要最低限」としている。農薬散布を止めたい金沢市民の会世話人は「農薬は、化学物質過敏症の発症の引き金になる可能性もある。自治体が助成するのは間違い」と批判している。(2/4付毎日新聞)
 
難燃剤やフッ素化合物による汚染進む
   DDTやPCBなどによる汚染が依然として深刻な一方で、臭素系の難燃剤やフッ素化合物などによる新たな生態系や人体の汚染が各地で進んでいるとの報告書を、世界自然保護基金(WWF)が29日、発表した。繊維や樹脂に添加する臭素を含んだ難燃剤の人間の血液中での濃度が、1990年に入り世界各地で上昇。動物実験ではPCBに似た神経や発達への影響が指摘されている。パーフルオロオクタン酸塩(PFOA)など、免疫機能への影響が指摘されるフッ素化合物による鯨や海鳥、人体の汚染が進んでいることも判明。これは、調理器具の焦げ付き防止や、繊維製品を汚れにくくするために、フッ素化合物の使用量 が増えたことが原因とされている。(1月30日共同通信報道)
 
マンションのシックハウスで集団訴訟
   大阪市北区の「ライオンズマンション」(95戸)に住む20世帯46人が29日、販売元の大京と施工業者、建材メーカーの3社を相手に、リフォーム費用や慰謝料など総額約3億600万円の損害賠償を求める訴えを大阪地裁に起こした。原告代理人によると、シックハウスの被害をめぐるマンション住民の集団提訴は全国初とみられる。原告らは00年11月〜02年1月に入居したが、間もなく頭痛やめまいなどに悩まされ、多くの人が専門医のいる北里研究所病院で「シックハウス症候群」の症状と診断された。空気測定で、ホルムアルデヒドが平均で国の指針値の約2倍の高濃度で検出され、床下の建材から放出されていることがわかったという。大京広報部は「原因も特定できておらず、当社に法的責任はない」と話している。(1月29日付朝日新聞、その他報道)
 
重いアレルギー引き起こす食品、表示義務は6割のみ
   アレルギー患者にアナフィラキシーを引き起こした「原因食品」のうち、アレルギー対策として加工食品に原材料表示が義務付けられているものは約6割で、残り約4割はそれ以外の食品だったことが15日、患者・家族を対象にした初めての大規模アンケートで分かった。調査は昨年7月、今村知明東大病院助教授(医療統計学)と「アレルギーの会全国連絡会」が実施。(1月15日共同通 信報道)
 
塩尻市、大部分の教室に換気扇設置
   塩尻市の小中学校で昨夏、ホルムアルデヒド濃度が基準を上回った問題で、塩尻市教委は9日、環境改善のため大部分の教室に計465台の換気扇を設置して再検査した結果 、全13校で基準値を下回ったと発表した。(読売新聞報道)
 
化学物質の健康リスク判定ソフトを開発
   日常生活で浴びたり、摂取したりする化学物質が与える健康へのリスクはどれくらいか。産業技術総合研究所化学物質リスク管理センター(独立行政法人)の吉田喜久雄研究員らが、それを簡単に計算できるソフトウエアを開発した。同センターのホームページから無料でダウンロードできる。「特定化学物質の把握と管理・促進法」で指定されている354の物質から、生活の中で接触する割合が高い76物質を取り上げて、地下水、空気、土壌、野菜など化学物質を運ぶ11の媒体と、飲んだ、食べた、吸ったなど33のシナリオから自分にあてはまるものを選び、性別 、身長、体重などのデータを打ち込むと、発がん率など健康被害の危険度を示す「リスク指標」が計算できる。(1月6日付朝日新聞報道)
 
化学物質過敏症の子どもに影響少ない教科書を研究
   化学物質過敏症が原因で教科書を読めない児童・生徒に対応するため、文部科学省は影響の少ない教科書モデルの研究に乗り出した教科書の出版社でつくる教科書協会(56社加盟)を中心に、印刷、製紙、医学、教育の専門家でつくる「教科書改善のための調査研究委員会」が実施する。(1月5日付毎日新聞報道)
 
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