化学物質過敏症(環境病)をめぐる動き(2002年)
最近の動き 2005年 2004年 2003年 2002年 2001年

■12/19 建築基準法改正に伴い施行令を改正
 ホルムアルデヒドとクロルピリホスを規制する、建築基準法改正が7月12日に公布されたのを受け、国土交通省は、具体的な技術的基準などを定めた同法施行令改正を発表した。20日に閣議決定し、2003年7月1日から施行する。
 国土交通省のウェブサイト


■12/11 都立学校の室内空気質を測定
  都議会第4回定例会は本会議を開き、一般質問が行われた。都は改築した都立学校で室内化学物質の測定を計画的に実施する考えを表明した。国が基準値を定めた4種類の化学物質について、過去10年以内に改築した都立学校で来年度から計画的に濃度を測定する。また、化学物質の正しい理解や適切な換気方法、化学物質を発生する恐れのある製品の情報などをマニュアルとしてまとめ、説明会や研修会を通じて学校に周知していく。(東京新聞報道)

■12/4 埼玉県内の37小中学校でシックスクール
 埼玉県教委健康教育課が6〜8月に県内1,552校にアンケートを実施、「過去、工事後に体調不良を訴えた子どもはいるか」という問いに「いる」と答えたのは37校あった。長期休み中に改築工事を行い、その後の換気期間が十分でない場合に症状を訴えるケースが多いという。同課は「建物だけでなくパソコンやいす、机など備品が新しく備え付けられた直後に発症する例もある」とする。現在症状が重いケースが報告された14校で精密検査を行っている。(朝日新聞報道)

■12/? 文部科学省が「協力者会議」の第1回議事概要を公開

 文部科学省が、学校でのシックハウス症候群や化学物質過敏症の実態について調査する方法などを検討する「シックハウス症候群に関する調査研究協力者会議」の8月に開かれた第1回会議の議事概要が、同省のサイトで公開された。同会議では二つの部会が設置されたが、ともに一般市民に公開されていない。
 文部科学省のサイト

■11/16 日弁連がCSを調査
 化学物過敏症について、日本弁護士連合会が初の調査に乗り出した。年度内に政府に対し、法規制のあり方など を提言する。
 日弁連公害対策・環境保全委員会の佐藤泉弁護士(第一東京弁護士会)ら8人が担当し、被害者や専門家、建築家からの聞き取りを進める。(毎日新聞報道)

■11/11 東京・調布の小学校でシックスクール
 調布市立調和小学校の新校舎で、トルエンが文部科学省の基準値を上回って検出されたことがわかった。市教委は11日、保護者あてに報告書を送って説明するとともに、検出された部屋の使用中止を決めた。新校舎は7月に完成し、9月から利用している。体調不良などを訴えた児童のうち7人は一時的に近くの別の小学校に通っている。
 市教委は10月26日に化学物質を測定した。教室や保健室、体育館など16カ所でトルエン、ホルムアルデヒド、キシレン、パラジクロロベンゼンの室内濃度を調べた結果、情緒障害児らが使うプレイルームでトルエン0.15ppm(基準値0.07ppm)が検出された。7月と8月にも測定したが、トルエンは1回目は16カ所すべてで基準値以上、2回目も11カ所で上回っていた。(朝日新聞報道)

■11/6 滋賀の小学校で指針値オーバー

 新築の自宅に住んでいて化学物質過敏症(CS)になった滋賀県の小学生と保育園児が、来春から新たに通う予定の新設小学校で国の指針値を超える化学物質が検出されたた め、通学困難な見通しになっている。
 滋賀県水口町に住むYさんの長男=町立伴谷小5年=は、生後約半年で新築住宅に入居し、アレルギー症状が出た。長男は伴谷小に入学直後から、目の充血、頭痛、熱っぽいなどの症状が出 た。長女もかぜ薬を飲むと体調が悪くなるなどの症状があり、2人ともCSと診断された。
 人口増加に伴って03年春に開校予定の伴谷東小に長男と長女が通う見通しが99年に伝えられた。Yさんは00年、町教委や町長に「新設校の建材などは安全なものの使用を」と要望書を出した。しかし、新設された伴谷東小の校舎で、トルエンが国の指針値の約21倍、ホルムアルデヒドが1.6倍検出されていたことが今年8月に分かった。(毎日新聞報道)

■10/10 トルエン濃度オーバーで県営住宅の入居延期
 高知県は新築した県営住宅(賃貸)の検査で、トルエンが国の指針を上回ったため、 予定していた151世帯の入居延期を決め、説明会を開い た。国土交通省住宅総合整備課は「シックハウス問題で公営住宅の入居を延期する例は、聞いたことがない」と話している。
 県住宅課によると、全153戸のうち15戸の室内検査を8月下旬に実施。トルエンの数値が厚生労働省の定める指針値0.07ppmを全戸で上回り、最高値は0.68ppmに上った。(共同通信報道)

■10/8 大規模公共建築物にホルムアルデヒドの基準値
 政府は、面積3000平米以上のオフィスや店舗などの環境基準を定める「建築物における衛生的環境の確保に関する法律(ビル管法)施行令」を改正し、ホルムアルデヒドを新たに基準に加えた。来年4月から施行される。

■9/5 住宅室内濃度の実態調査結果
 国土交通省などでつくる「室内空気対策研究会」が住宅を対象に行った室内空気実態調査の2001年度報告書が発表された。築1年以内の住宅のうち、13.3%でホルムアルデヒドが指針値を超え(1,726件中230件)、6.4%でトルエンが指針値を超えた(1,680件中107件)。また、2000年度の調査でホルムアルデヒドが指針値を超えていた住宅を追跡調査したところ、2001年夏の段階で、なお27.8%(536件中149件)で指針値を超えていた。
 室内空気対策研究会のサイト

■8/29 長野の小学校でトルエンなどの基準値オーバーを隠す
 長野県塩尻市立の小学校の新校舎で、トルエンの空気中濃度が先月末、文部科学省 が定めた基準値の約1.9倍に達したことが分かった。今年3月には数値はさ らに高かったが、同市教委や同校は保護者らに知らせないまま、1学期の授業を行っていた。
 地元の開業医によると、シックハウス症候群によると見られる目の異常を訴えて来院した男子児童がいたという。 フローリングの下地に使用された接着剤が原因の可能性が高いと いう。(読売新聞報道)

■8/28 厚生労働省、国土交通省の来年度予算概算要求
 厚生労働省は2003年度予算の概算要求で、シックハウス症候群の原因分析、診断・治療法の研究などの対策の推進として7億4000万円、リウマチ・アレルギー対策の推進として19億円を、それぞれ盛り込んだ。
 一方、国土交通省は、シックハウス対策として5億円を盛り込んだ。全国の住宅のうち、ホルムアルデヒド濃度が厚生労働省の指針値を超える割合を2005年度までに10%にすることを目標に掲げている。 また、「住宅性能評価を受けた住宅に係る紛争処理体制の充実」も掲げている。
 厚生労働省のサイト
 国土交通省のサイト

■8/28 滋賀の小学校新校舎で指針値超える
 来春開校する滋賀県水口町山の町立伴谷東小学校の校舎内から、トルエンやホルムアルデヒドが国の指針値を大幅に超えて検出されていたことが町の調査で分かった。町教委は、教室に換気扇を設置するなどの対策を決めた。 トルエンは室外を除く8カ所で指針値を上回り、3階の普通教室では約21倍の5,500マイクログラムが検出された。(朝日新聞報道)

■8/19 保育園児19人が「シックハウス症候群」
 新築園舎から国の指針値を約12倍も上回るトルエンが検出された大阪府堺市の保育園で、専門医らの調査によって園児19人がシックハウス症候群と判断された。全園児138人を対象に問診票を配布、134人から回答があり、うち37人に「目がしょぼしょぼする」「目やにが出る」といった症状があった。医師らは、発症時期や、退園後に改善したかどうかも考慮して絞り込んだ結果、シックハウス症候群である可能性が「極めて高い」園児は14人、「高い」園児 は5人と判断した。(毎日新聞報道)

■8/14 図書館職員が労災申請
 
大阪府吹田市立図書館北千里分室・北千里地区公民館で改装直後に職員や利用者にシックハウス症候群とみられる症状が出た問題で、女性職員4人の症状が悪化し、化学物質過敏症(CS)と診断されていたことが分かった。4人とも労災(公務災害)認定を請求した。4人は2〜3カ月間、勤務を休む見通しという。また、別の男性職員1人もCSの疑いがあると診断された。この施設では、厚生労働省の指針値の5倍に当たるトルエンが検出されたが、現在は指針値を下回っている。しかし、4人の診断ではポリウレタン系の塗料や接着剤に使わ れる化学物質のイソシアネート中毒の疑いがあるという。(毎日新聞報道)。

■7/29 改正建築基準法の「技術的基準」案公表

 
シックハウス症候群予防のための初の法規制を盛り込んだ改正建築基準法が、7月5日の衆議院本会議で可決、成立したことを受けて国土交通省は、ホルムアルデヒドとクロルピリホスについて、具体的な規制方法を示す「技術的基準の試案」を公表し、8月28日までパブリックコメントを募集している。
 国土交通省のサイト

■7/15 文部科学省が児童生徒の「シックハウス」の実態調査へ
 文部科学省は、学校の化学物質の室内濃度や、「シックハウス症候群」の児童生徒の現状等について調査を行い、その結果について分析・研究を行うことにした。具体的な方法等は、医学、建築学、保健学など、15人の専門家による会議で検討していく。  

■7/8 ビルの新築時などにホルムアルデヒド濃度測定を義務付けへ
 厚生労働省はいわゆる「ビル管理法」の政令を改定し、 3,000平米以上の百貨店、集会場、旅館などと、8,000平米以上の学校について、ホルムアルデヒドの基準値を0.08ppmとし、新築・増改築、大規模修繕・模様替を行った後に測定し、基準値を下回るまで対策を取ることを義務付ける方針を決めた。8月7日までパブリックコメント(意見)を募集中。
  厚生労働省のホームページ

■7/5 建築基準法改正案、衆議院でも可決し成立

 シックハウス症候群対策が盛り込まれた建築基準法改正案が、衆院本会議で自民、民主などの賛成多数で可決、成立した。1年以内に施行される。

■6/26 杉並病と中継所の因果関係一部認める
 「杉並病」について、国の公害等調整委員会は、ごみ圧縮施設「杉並中継所」操業直後の96年4〜8月に限り「中継所から排出された化学物質が原因」とする裁定を出し、裁定申請者18人のうち14人の健康被害との因果関係を認めた。原因物質の特定はせず、同9月以降の被害認定は「原因不明」として棄却した。住民側は、因果関係を認めた裁定を評価する一方で、「被害は今も続いている」と時期の限定を批判している。

■6/12 高知で100人以上“集団シックスクール”
 高知県の町立中学校で昨年4月から新築校舎の使用を始めた直後、全校生徒約240人の半数近くが「シックハウス症候群」とみられる症状を訴えていたことが分かった。ホルムアルデヒドの濃度も、最高で厚生労働省の指針値の約5倍が検出された。換気扇などを取り付けて対応し、現在、症状を訴える生徒はいないが、最初に症状を訴えた女子生徒1人は転校した。 保健所が7月、全校生徒にアンケート 調査したところ、111人が「気分が悪い」「体調が悪い」などと訴えた。町教委は「校舎自体は99年に完成したが、使用を始める昨年4月までの間、教室の窓を閉め切っていたのが原因では」としている。(毎日新聞報道) 

■6/11 「シックハウス」で労災初認定
 大阪府堺市立保育所の仮設園舎で化学物質によるシックハウス症候群にかかったとして、労災補償を求めていたアルバイトの女性保育士4人に対し、堺労働基準監督署労災と認定していたことが分かった。シックハウス症候群での労災認定は初めて。大阪市の社屋改装中の会社で働いていた女性も近く労災認定される見通しだ。(毎日新聞報道)

■6/6 メーカーのシックハウス対策調査結果
  国民生活センターがメーカーを対象に行ったシックハウス対策アンケートの結果を発表。厚生労働省の室内濃度指針値について97.2%が「知っている」と答えた。しかし、「知っている」業者の中で、指針値について「守らなければならない値」と受け止めているのは67.4%で、「参考程度」も19.4%いた。
 また、薬剤による防蟻を行っている業者のうち、日本シロアリ対策協会によるクロルピリホスの使用自粛要請を知らない業者は50.6%にも達した。
 国民生活センターのウェブサイト

■4/26 建築基準法改正案が参議院で可決
 
シックハウス予防策を含む建築基準法改正案が参議院本会議で、自民、民主などの賛成多数で可決されました。独自のシックハウス対策法案を提案していた民主党は、室内空気汚染の医療・研究対策推進等をうたった附帯決議により、同法改正に賛成しました。附帯決議は10項目あり、うちシックハウス関係は、以下の6項目です。
 五、室内空気汚染による健康影響が生ずると認められる化学物質については、全て規制対象とするよう、関係省庁間の連携を図りつつ、室内空気中の化学物質の濃度の実態や発生源、発散量等の調査研究を進め、その結果が得られたものから、順次、規制対象に追加すること。
 六、建築基準については、室内空気中の化学物質の濃度を厚生労働省の指針値以下に抑制するために、通常必要な建築材料及び換気設備の基準を適切に定めるとともに、改正法の施行後に実態調査を行い、必要に応じて、その見直しに努めること。
 七、化学物質の濃度測定の重要性にかんがみ、測定サービス等の体制の充実に努めるとともに、建築基準法に基づく規制の内容や、室内濃度の測定方法、住まい方の留意点等について、消費者、事業者、関係団体等に対する情報提供等による周知徹底を図るとともに、相談体制の整備に努めること。
 八、住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく住宅性能表示制度による室内空気中の化学物質の濃度の実測値等の表示について、宅地建物取引業者の活用も図りつつ、周知徹底、普及促進に努めること。
 九、違反建築物対策について、完了検査等の徹底、パトロールの重点的な実施等に努めること。
 十、化学物質による室内空気汚染問題について、今後とも、関係省庁が連携して、原因分析、基準設定、防止対策、相談体制整備、医療・研究対策及び汚染住宅の改修に関する総合的な対策を推進すること。

 参議院国土交通委員会の議事録

●お知らせ●建築基準法改正案の国会審議が始まりました
4月16日午前10時
 参議院国土交通委員会で審議
場所:参議院第24委員会室
4月18日午前10時 参議院国土交通委員会で参考人質問
岡田恒男(芝浦工業大学工学部教授)
尾竹一男(尾竹一男建築研究所代表)
片方信也(日本福祉大学情報社会科学部教授)
午後 参議院国土交通委員会で審議
18日の傍聴をご希望の方は下記でも受け付けますので、17日16時までにご連絡ください。
電話:03-5226-8843(市民がつくる政策調査会・小林)

■2/20 文春新書「化学物質過敏症」発売
 
柳沢幸雄、石川哲、宮田幹夫各先生の共著「化学物質過敏症」(文春新書・本体690円)が発売された。これまでの石川、宮田両先生の著書とは趣が異なり、医学的な説明は要点だけに抑え、CS患者が社会的にいかに厳しい立場に置かれているかにも焦点を当てている。患者でない読者も強く意識した内容。
 文藝春秋社のサイト

●おしらせ●天然絵の具作りの講習会
 市販の絵の具が使えないCSの子供でも使えそうな、植物や土からの天然絵の具づくりの講習会「第1回地球はともだち」が2月10、11日、東京・青山「こどもの城」で行われる。主催は「日本植物染会議」(電話011-252-6780)。

■2002/1/30 建築基準法改正について、 国土交通省の社会資本整備審議会が答申
 
社会資本整備審議会が、建築基準法改正のあり方を示す答申を行った。答申によると、シックハウス対策としては、当面、ホルムアルデヒドとクロルピリホスを規制対象とする。ホルムアルデヒドは、建物の換気率等と、建材(内装材、押入、建具等)の等級ごとの使用面積制限とを組み合わせて規制する。クロルピリホスを発散させる恐れのある建材は使用禁止とする。
 室内空気濃度に対する規制は、「濃度は気候条件等によって変わる」「測定にコストがかかる」等の理由から、実施しない。
 答申を受けて同省は改正案を今国会へ提出する。
  
答申

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