CS支援センターの活動から
保健所設置自治体へ要望書を提出
 化学物質過敏症発症者からのご提起を受け、各保健所が化学物質過敏症、シックハウス症候群に関して取り組むよう、2004年1月19日、保健所を設置している自治体(都道府県、政令指定都市、中核市、その他の設置市、東京23区)の首長あてに、各団体と共同で要望書を提出しました。

2004年1月19日

(保健所設置自治体名)
(知事or市区長) (氏名) 様

保健所についての要望書

  私たちは、化学物質過敏症やシックハウス症候群の発症者、家族、支援者団体、または、化学物質による健康や環境への悪影響を減らすことを目指している団体です。
  平素より、化学物質過敏症、シックハウス症候群についてお取り組みいただきまして、ありがとうございます。
  化学物質過敏症、シックハウス症候群につきましては、各自治体ならびに国により取り組みが行われており、昨年7月には、シックハウス症候群の予防を期して建築基準法が改正されました。しかし、これらの施策の多くは発症予防策であり、発症者対策については十分ではありません。
  化学物質過敏症、シックハウス症候群の発症者は、さまざまな問題を抱えておりますが、中でも早急に対策が必要なものとして、化学物質過敏症、シックハウス症候群の診療が可能な医療機関が少ないため、それらから遠くに居住する発症者の受診の大きな支障となっております。
  また、これらの疾患の発症者が高血圧、心臓病等の他の疾患を併発させたり、負傷をした際の診療に対応できる医療機関を確保することも、緊急課題の一つです。細心の配慮をしてくださる医療機関、医師がいらっしゃる一方で、化学物質過敏症またはシックハウス症候群を発症していることを伝えると、「知識がない」「何が起きても責任を持てない」等、事実上の診療拒否をされることも少なくありません。また、医療機関内の化学物質汚染により発症者が入れなかったり、入ることができた場合でも医療従事者の知識不足により、発症者が医療機関で不必要な化学物質に曝露して苦しむことも少なくありません。
  学校現場においては、建材ばかりでなく、床ワックス、殺虫剤をはじめとする様々な化学物質の使用により、化学物質過敏症やシックハウス症候群を発症したり、または発症者が症状をさらに悪化させて、学校へ行けなくなる等の問題があります。
  職場においても、分煙・禁煙の不徹底による受動喫煙や、職業上扱う化学物質により、多くの方々が発症し、また、発症した方々が就労できず、生活に困窮しております。
  また、地域においては、隣家が園芸用に使う殺虫剤等により発症、または症状が悪化し、殺虫剤等の使用を控えるようにお願いすると、「法律で禁じられていないのに、因縁をつけるのか」等と、トラブルになる例が絶えません。田畑や森林への農薬空中散布、野焼き、建築・道路工事等も、発症者をたいへん苦しめます。
  貴自治体では保健所を設置されていることと存じますが、地域保健法第6条は、保健所の事業として「治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病により長期に療養を必要とする者の保健に関する事項」「その他地域住民の健康の保持及び増進に関する事項」等を定めており、治療法が確保されておらず、また、環境汚染で症状が悪化するため自己努力のみでは対応に限界があるこれら発症者の生命と生活を守るために、保健所が果たすべき役割は大きいと考えます。
  化学物質過敏症、シックハウス症候群の発症者への対応として、また、新たな発症を予防するためにも、貴自治体の保健所において、下記について取り組まれますよう、要望いたします。
  ご多用中恐れ入りますが、ご検討のうえ、その結果を文書でいただきますよう、お願い申し上げます。

  1. 化学物質過敏症、シックハウス症候群をはじめ、化学物質による健康影響等、関連する情報を積極的に収集し、研修等を通じて、職員全員が知識、理解を深めること。
  2. 学校を含む公共施設における室内環境の保全のために、担当部局へ働きかけ、連携して、以下について取り組むこと。
    (1)公共施設の建設・管理担当部局の職員に対して、化学物質過敏症、シックハウス症候群について情報提供や研修等を行い、知識と理解を深めること。
    (2)公共施設の室内空気質濃度の定期測定のほか、新築・改修工事後、備品搬入後等、必要に応じて臨時測定を行うこと。厚生労働省の指針値を超えていた場合は、原因を明らかにしたうえで、適切な対策を行うこと。
    (3)公共施設の禁煙化を推進すること。
  3. 教育委員会、学校、学校医、学校薬剤師と連携し、化学物質過敏症、シックハウス症候群について情報交換を行い、発症している児童生徒の就学対策や、児童生徒の発症予防に取り組むこと。
  4. 建築・土木工事の部局と連携し、発症者の居住地近くで工事が行われる場合に、できる限り有害化学物質を減らしたり、発症者の工事期間中の避難場所を確保する等の取り組みを行うこと。
  5. 福祉、労働の部局と連携し、発症者の就労対策に取り組むとともに、就労が困難な場合の生活保護の手続きが支障なく進むよう、取りはからうこと。
  6. 化学物質過敏症、シックハウス症候群の発症者が、年齢別健康診断(乳幼児検診、がん検診等)等の公共サービスを受けられるよう、実施場所において個別に対応がとられるよう取りはからうこと(実施場所の室内空気質改善、医療器具・消毒方法の配慮等)。
  7. 医師会、医療機関と連携し、化学物質過敏症、シックハウス症候群発症者が身近な医療機関で他の疾患も含めて受診できるよう取りはからうこと。
  8. 発症者居住地の周辺住民に対し、化学物質過敏症、シックハウス症候群への理解と協力を求めること(農薬・殺虫剤散布、野焼き等の制限等)。
  9. 化学物質が健康へ与える影響等について、学習会等により市民へ啓発すること。

以上

【要望団体】
AEHF JAPAN
化学物質過敏症患者の会
化学物質問題市民研究会
環境アレルゲン調査研究会・北陸
環境病患者会
喜多見父母の会
子どもの健康と環境を守る会
サスティナブル21
CS患者会
シグナルキャッチ
ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
調和小学校保護者有志
特定非営利活動法人 化学物質過敏症支援センター
日本消費者連盟関西グループ
反農薬東京グループ
【取りまとめ】
横浜市中区南仲通4-39-5階 かながわ市民活動スペース内
特定非営利活動法人 化学物質過敏症支援センター 理事長  横田 克巳
電話045-222-0685 ファクス045-222-0686
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