4省へ要望書を提出

 化学物質問題市民研究会からのご提案により、同会と当センターの両団体により、厚生労働、国土交通、文部科学、環境各大臣あてに、化学物質過敏症に係る要望書を提出することを呼びかけ、ご賛同いただいた各団体の共同により提出しました。


2005年12月5日

厚生労働大臣 川崎二郎 様

要望書

 平素より、化学物質を原因とする健康問題等についてお取り組みいただき、ありがとうございます。
 私たちは、化学物質により健康被害を受けている患者およびその家族による団体、及び支援団体です。
 この間、各種対策に取り組んでいただいていますが、残念ながら有害化学物質による健康被害者は一向に減少しないどころか、逆に増加しています。シックハウス対策等の予防対策は徐々に進んできていますが、既に被害を受けてしまった者には全くといっていいほど、対策が取られていないのが現状です。そのため、被害者は肉体的、精神的、経済的に追い詰められ、自殺者も出ているという切迫した状況にあります。
 貴職におかれましては、下記要望に速やかに取り組んでいただくよう、要望いたします。
 お忙しいところ恐れ入りますが、12月20日までに回答していただくようお願い致します。

要望1.全国規模の疫学調査を実施し、発症者の実態を把握してほしい
これまでの厚生労働科学研究で得られた、疫学調査手法についての知見を踏まえ、調査を実施していただきたい。
要望2.化学物質過敏症を病気として正式に認めてほしい
  • 医学界が認めていないことをその理由にしているが、その根拠は何か。どういう条件を満たせば、医学界が認めたと見なすのか。
  • 化学物質過敏症の科学的究明が十分でないとしても、何らかの救済策を講じてほしい。
    現実に患者は存在し、日々苦しんでいるのだから、その救済は国としてなすべきではないか。究明がなされるまでは何もできないというのでは、不作為の謗りを免れないのではないか。
要望3.療養施設と避難施設を早急に作るか、または既存の療養施設・避難施設への助成、療養・避難する発症者への支援を行ってほしい
被害者は化学物質の被害から逃れて住む場所がなく、路頭に迷っている状況である。キャンプ生活を余儀なくされている人もいる。
  • 中長期間住める療養施設と、近くで農薬が撒かれる、外壁塗装工事が行われるなどの場合、一時的に避難できる施設を各地に建設してほしい。
  • NPO法人など民間が患者の要望に応じて建設した同様施設への助成をしてほしい。
  • 療養・避難する発症者への支援を行ってほしい。
  • 転地療養による効果について、厚労省の見解を示してほしい。
要望4.保育園、幼稚園におけるシックスクール対策を進めてほしい
学校においてはシックスクール対策が徐々に進んできているが、保育園・幼稚園等の社会福祉施設においては、ほとんど取られていないのが現状である。予防策と既に発症した子どもへの対策を早急に講じてほしい。
要望5.化学物質による被害者救済のための対策委員会を早急に発足させてほしい
以上要望した被害者救済のためには、関連省庁も交えた対策委員会が必要である。今ある関係省庁連絡会議を発展させて、患者、支援団体も含めた対策委員会を早急に発足させてほしい。
要望6.予防原則に立った化学物質の使用規制に関する総合的な法律を制定してほしい
化審法によって新規化学物質は安全性が審査されて市場に出ているというが、現に私たちはその被害を受けている。また、新規以外の化学物質についてはほとんど審査されていない。さらに、農薬取締法、薬事法、食品衛生法、消費生活用製品安全法などの法律はあっても縦割り・限定的・基準が緩い等の理由で、私たちの安全は守られていない。よって、私たちの安全を有害化学物質から守る総合的な法律を制定してほしい。

以上


2005年12月5日

国土交通大臣 北側一雄 様

要望書

 平素より、化学物質を原因とする健康問題等についてお取り組みいただき、ありがとうございます。
 私たちは、化学物質により健康被害を受けている患者およびその家族による団体、及び支援団体です。
 この間、各種対策に取り組んでいただいていますが、残念ながら有害化学物質による健康被害者は一向に減少しないどころか、逆に増加しています。シックハウス対策等の予防対策は徐々に進んできていますが、既に被害を受けてしまった者には全くといっていいほど、対策が取られていないのが現状です。そのため、被害者は肉体的、精神的、経済的に追い詰められ、自殺者も出ているという切迫した状況にあります。
 貴職におかれましては、下記要望に速やかに取り組んでいただくよう、要望いたします。
 お忙しいところ恐れ入りますが、12月20日までに回答していただくようお願い致します。

要望1.改正建築基準法を満たしても発症者が出た住宅の実態調査を実施してほしい
改正建築基準法を満たしているにもかかわらず、発症している例が見受けられる。国として実態調査を実施し、建築基準法の見直しを行ってほしい。
要望2.療養施設と避難施設を早急に作るか、または既存の療養施設・避難施設への助成、療養・避難する発症者への支援を行ってほしい
被害者は化学物質の被害から逃れて住む場所がなく、路頭に迷っている状況である。キャンプ生活を余儀なくされている人もいる。
  • 中長期間住める療養施設と、近くで農薬が撒かれる、外壁塗装工事が行われるなどの場合、一時的に避難できる施設を各地に建設してほしい。
  • NPO法人など民間が患者の要望に応じて建設した同様施設への助成をしてほしい。
  • 療養・避難する発症者への支援を行ってほしい。

以上


2005年12月5日

文部科学大臣  小坂 憲次 様

要望書

 平素より、学校における子どもたちの化学物質を原因とする健康問題についてお取り組みいただき、誠にありがとうございます。
 私たちは、学校環境における化学物質等により体調不良を起こしている児童・生徒・学生、およびその家族による団体、及び支援団体です。
 さて、この間、貴職におかれましては、「学校環境衛生の基準」の改訂等、この問題への対応策を進められているところですが、残念ながら化学物質による子どもたちの健康問題は増え続けているのが現状です。私たちは、問題が深刻化しているのを日々身を持って体験し、未来を担う子どもたちの問題が一日も早く解決されることを切に願っているものです。
 貴職におかれましては、下記要望に速やかに取り組んでいただくよう、要望いたします。
 お忙しいところ恐れ入りますが、12月20日までに回答していただくようお願い致します。

要望1.化学物質過敏症(以下CS)の児童・生徒の全国実態調査を実施してほしい
CSの児童・生徒が全国に何人ぐらいいるのか、疫学調査を行っていただきたい。
要望2.国としてシックスクール問題対応マニュアルを作成してほしい
一部自治体においては、シックスクール問題対応マニュアルが作られてきている。国においても作成しているとのことだが、その進捗状況を示してほしい。
埼玉県のマニュアルのような詳しい対応マニュアルを作成していただきたい。また、対応マニュアル作成に際しては、CS児童・生徒の保護者の意見を聞いていただきたい。
要望3.シックハウス症候群に関する調査研究協力者会議の進捗状況について示してほしい。
シックハウス症候群に関する調査研究協力者会議については、わずかに第1回(2002年8月)、第2回(2003年6月)の議事概要がウェブサイトで公開されているだけであるが、その後の進捗状況についてお示しいただきたい。また、進捗が停滞しているのだとすれば、その理由をお示しいただきたい。
要望4.学校長・副校長・教職員等、学校関係者への研修体制を確立してほしい
CSの症状には個人差が大きく、反応するものも症状も様々なので、個々にきめ細かい配慮が必要である。そのため、周囲の理解が不可欠であり、学校関係者に化学物質対策の啓発をお願いしたい。研修を定期的に行って周知・徹底させていただきたい。
要望5.CS児童・生徒のために、副担任を置いたり、訪問教育を行う場合に必要となる教員の加配について、当該教育委員会へ財政支援を行ってほしい。また、通信制・インターネットを使った授業なども実施してほしい。
CS児童・生徒が教育を受ける権利を守るため、通常学級での授業、個別授業、家庭での授業等、症状等に応じて児童・生徒が希望する形で教育を受けることができるよう、制度整備や財政措置を取っていただきたい。
要望6.幼稚園におけるシックスクール対策を進めてほしい
学校においてはシックスクール対策が徐々に進んできているが、幼稚園においては、進んでいない所が多いのが現状である。予防策と既に発症した子どもへの対策を早急に講じてほしい。
要望7.農水省通知「住宅地等における農薬使用について」(平成15年9月16日付け 15農安第1714号消費・安全局長通知)の周知・徹底をはかってほしい
学校敷地内において、この通知が守られていない実態があり、CS児童・生徒は苦しめられている。周知・徹底のための方策を示してほしい。

以上


2005年12月5日

環境大臣 小池 百合子 様

要望書

 平素より、化学物質を原因とする大気汚染問題等についてお取り組みいただき、ありがとうございます。
 私たちは、化学物質により健康被害を受けている患者およびその家族による団体、及び支援団体です。
 この間、国におかれましては各種対策に取り組んでいただいていますが、残念ながら有害化学物質による健康被害者は一向に減少しないどころか、逆に増加しています。シックハウス対策等の予防策は徐々に取られつつありますが、既に被害を受けてしまった者には全くといっていいほど、対策が取られていないのが現状です。そのため、被害者は肉体的、精神的、経済的に追い詰められ、自殺者も出ているという切迫した状況にあります。
 貴職におかれましては、下記要望に速やかに取り組んでいただくよう、要望いたします。
 お忙しいところ恐れ入りますが、12月20日までに回答していただくようお願い致します。

要望1.化学物質過敏症を疾病として認めること
また、化学物質過敏症に関する研究の昨年2月の報告書発表後の進捗状況と、今後の見通しについて示されたい。
要望2.公園や街路樹、庭等に撒かれる農薬等の薬剤による被害防止対策を徹底すること
公園や街路樹、庭等に撒かれる農薬(殺虫剤、殺菌剤、除草剤等)によって、化学物質過敏症(CS)を発症する者が後を絶たない。また、すでに発症した者も、これに非常に苦しんでいる実態がある。農水省から通達「住宅地等における農薬使用について」が出たが、飛散に限定され、かなりの長期間残留することやガス状になって周辺へ広がることなどが考慮されていない。また、通知が出されても学校や公園、敷地等での農薬散布を一向に改めない等の被害者からの訴えが多い。貴職として何らかの有効な対策を講じてほしい。
また、今年度、農薬飛散リスク評価使用検討調査を実施すると聞いているが、その内容と進捗状況、今後の予定についてうかがいたい。
要望3.野焼きの取り締まり強化と周知徹底をはかること
化学物質過敏症患者は、野焼きにひじょうに苦しめられている。空気のきれいな郊外にと考えて避難してきたのに、野焼きされると居場所がない。農家の野焼きは自然物については禁止されていないが、稲わらやもみがら焼きの煙に、ぜん息などの原因となる化学物質が含まれていることが明らかになっている。よって、農家の野焼きはすべて禁止してほしい。また、国民全てに対して、野焼きは禁止されていること、環境への影響と被害を受ける者がいることを周知徹底してほしい。
要望4.印刷工場、化学工場、機械工場、クリーニング店等からの有害ガス・悪臭等による被害対策を講ずること
印刷工場等からの排出ガス等によって健康被害を受ける者が続出している。これら工場等からのVOCの排出抑制対策が始まったが、中小工場は規制の対象外とされている。しかし、周辺住民が被害を受けるのはむしろ中小業者の施設である事が多い。したがって、中小工場等からの排出を減らすよう有効な対策を講じてほしい。

以上

要望団体(五十音順):
あっぷるんるんくらぶ(アトピーの子を持つ親と大人のアレルギーの会)
アトピッ子地球の子ネットワーク
アレルギーを持つ人のひまわりの会
岩国みどりの会
沖縄アレルギーを考えるシーサーの会
小樽子どもの環境を考える親の会
特定非営利活動法人 化学物質過敏症支援センター
化学物質問題市民研究会
環境の会
岐阜県可児市議会議員 山根一男
岐阜喘息友の会
くらし・しぜん・いのち 岐阜県民ネットワーク事務局
合成洗剤をやめて石けんを広める千葉県連絡会
子どもの健康と環境を守る会
サスティナブル21
CS患者会
CS発信ちゅうごく
CSの子供を持つ親の会
シグナルキャッチ
特定非営利活動法人 シックハウス対策研究会
住環境畳シンポジウム
食と生活の安全を考える会
生活クラブアトピーネットワーク
ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
ダイオキシン・処分場問題愛知ネットワーク
棚原地域医療ゴミ違法焼却炉問題を考える会
電磁波問題市民研究会
徳山ダム建設中止を求める会
日本アトピー協会
農薬空散反対千葉県ネットワーク
廃棄物系化学物質による健康被害者支援科学者グループ *厚労相あて、文科相あてのみ
浜松アトピーの会
反農薬東京グループ
VOC-電磁波対策研究会
元調和小保護者有志
有害化学物質から子どもの健康を守る千葉県ネットワーク
(団体代表者名略)

取りまとめ団体:
・化学物質問題市民研究会
・化学物質過敏症支援センター
(連絡先略)

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