文部科学省へ要望書を提出

 文部科学省が、学校におけるシックハウス症候群問題の啓発を目的とした、学校現場向けの「参考資料」を作成することになり、その作成を財団法人日本学校保健会へ委託しました。この委託事業をより成果の大きいものとするため、各団体と共同で2004年1月21日、要望書を提出しました。


2004年1月21日

文部科学大臣  河村  建夫  様

要望書

 私たちは、化学物質過敏症やシックハウス症候群の発症者、家族、支援者団体、または、化学物質による健康や環境への悪影響を減らすことを目指している団体です。
  このたびは、シックハウス症候群について、各都道府県教育委員会へ通知する「参考資料」の作成を、財団法人日本学校保健会へ委託するとのことで、教育現場での発症予防や、発症児童生徒への対策が進むものと期待いたしております。
 この委託事業の成果をより大きなものとするために、以下の通り要望させていただきます。
 ご多用中、誠に恐れ入りますが、ご検討のうえ、その結果を文書でいただきますよう、お願い申し上げます。

  1. 別紙の内容についても参考資料に取り入れてください。
  2. 参考資料の執筆者の方々が、化学物質過敏症、シックハウス症候群の発症者やその父母、支援団体等の意見を聴く機会を設けてください。または、参考資料を都道府県教委へ配付する前に、化学物質過敏症・シックハウス症候群の発症者やその父母・支援団体等に配布予定の内容を示し、意見を聴取する機会を設けたうえ、その結果を参考資料へ反映させてください。

以上

【要望団体(五十音順)】
AEHF JAPAN
化学物質過敏症患者の会
化学物質問題市民研究会
環境アレルゲン調査研究会・北陸
環境病患者会
喜多見父母の会
子どもの健康と環境を守る会
サスティナブル21
CS患者会
シグナルキャッチ
ダイオキシン・環境ホルモン対策国民会議
調和小学校保護者有志
特定非営利活動法人 化学物質過敏症支援センター
日本消費者連盟関西グループ
反農薬東京グループ
【取りまとめ】
横浜市中区南仲通4-39-5階 かながわ市民活動スペース内
特定非営利活動法人 化学物質過敏症支援センター
理事長  横田 克巳
電話045-222-0685 ファクス045-222-0686

(別紙)

化学物質過敏症、シックハウス症候群についての
参考資料に盛り込んでいただきたい内容

(意識啓発、情報交換等)

  1. 自治体、学校関係者、保護者、児童生徒、および、必要な場合の学校周辺地域住民に対する、化学物質過敏症、シックハウス症候群等、化学物質が健康と環境へ与える影響についての意識啓発
  2. 教育委員会、衛生担当部局・保健所など、自治体内関係部局の連携 (発症予防)
  3. 学校環境衛生の基準に定められた空気質調査実施の徹底
  4. 上記調査結果の父母への迅速かつ具体的な公表
  5. 上記調査で指針値を超えた場合、原因の解明と、根本的な対策の実施、および児童生徒への健康診断の実施
  6. 上記対策完了まで、当該施設の使用中止
  7. 教室の換気を徹底する。十分な換気の効果を得られない場合は、空調施設を設置する
  8. 学校施設、校庭での殺虫剤、床ワックス等、健康影響を引き起こしやすいものは、より安全な方法へ切り替える。やむを得ず使用する場合は、長期休暇の開始直後に行う
  9. 健康影響を引き起こしやすいトイレ芳香剤の使用は控え、他の方法へ切り替える
  10. 学校施設の新築等を行う場合は、教育委員会、学校管理職のみならず、一般教職員、養護教諭、父母、地域住民、建築関係者・専門家・NGO等も参加できる開かれた場でその内容を協議、決定する
  11. 学校施設の新築・改修では、化学物質を放散しないか、可能な限り放散が少ない建材を使う
  12. 机、イスなどの備品は、化学物質を放散しないか、可能な限り放散が少ないものとする
  13. 学校施設の改修は長期休暇の間に行い、施設使用と並行しての実施は避ける
  14. 教材、教具は、価格等だけでなく、安全性も重視して選択する
  15. 学校給食の食材、食器、食器洗浄剤は、安全性を重視して選択する
  16. 学校敷地内の禁煙化の推進

(発症者対策)

  1. 化学物質過敏症、シックハウス症候群等の児童生徒の教育を受ける権利を保証し、その基本的人権を守るために、発症児童生徒が可能な限り支障なく、安全に安心して教育を受けられるよう、教育委員会、教職員、学校医、学校薬剤師や地域の医師、保健師、保護者等の関係者の連携により、可能な限りの対応と配慮を行う
  2. 発症者は、反応を引き起こすものや、反応した際の症状等の個人差が大きいことを理解し、関係者は当該発症児童生徒の状況を十分に把握し、その状況に適した対応を取る
  3. 発症児童生徒が在籍する学校について、必要な場合は教職員を加配する
  4. 発症児童生徒の通学が困難な場合、訪問教育を行う
  5. 化学物質過敏症、シックハウス症候群が疑われる児童生徒がいる場合、すみやかに化学物質過敏症、シックハウス症候群の専門医の診察を受け、専門医と連携して対応する

以上

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