会報20号(2004.8.31)

 

化学物質過敏症発症者が評価した、既存および代替療法の効果
(米国ジェームズ・マディソン大学心理学部)

 

 化学物質過敏症(MCS)は、ごく一般的な化学物質に微量にさらされるだけで、多数の器官や系統、およびそれらに関連する臓器に悪影響が出る病気のことをいいます。同じ化学物質でも、人によって出る症状は様々ですが、個人レベルにおいては、特定の化学物質に対して出る症状は概ね決まっています。MCSの症状は、多くの場合、最初に特定の化学物質およびその関連物質に反応し、次第に他の種類の物質へと反応する範囲が広がって行きます。

 この研究は、アンケート調査に参加した、自称MCS発症者917人が試みた101の治療法(計108の治療法のうち、回答数が25人未満だった治療法についてはサンプル数が少ないため除外し、残りの101の治療法を分析しました)の効果 についての評価を、自己申告してもらったものです。これらの治療法には、環境医学療法、ホリスティック治療(身体を総体的に診る医学療法)、サプリメントの摂取、解毒治療、ボディーセラピー(身体治療)、東洋医学を根本とした健康法、最近になって開発された代替療法、処方薬、その他の治療法が含まれています。

 中でも最も評価が高かった三つの治療法とは、「化学物質フリーの生活空間の創造」、「化学物質からの回避」、そして「祈り」でした。「化学物質フリーの生活空間の創造」および「化学物質からの回避」は、ともに回答者の95%が「有効」だと評価しましたが、それ以外のほとんどの治療法は、人によって結果 はまちまちでした。回答者は、平均12人の医師および医療関係者らに相談しており、年収の3分の1以上の金額を治療費に当てていました。この論文では、個人資産の消耗について論じ、MCSからの回復の可能性に対するアンケート回答者の姿勢について述べています。

※この続きは、会報20号をご覧ください。

 

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