CS支援センターの活動から
会報「CS支援」
旭川・化学物質過敏症一時転地住宅 入居期間を3カ月に延長
   網代太郎(CS支援センター事務局長)  =会報第15号(2003.10.20)

 

 化学物質過敏症一時転地住宅(北海道旭川市)での転地療養についての共同研究者の全体会議が10月6日、都内で開かれ、前回会議(昨年12月)以降の経過が報告されました。
 会議ではまず、北里研究所病院臨床環境医学センター長の石川哲先生が、化学物質過敏症についての最新情報をご報告してくださいました。米国アトランタ州ジョージア市民から無作為に選んだ1582人にCSがあるか調査したところ、12.6%がCSで、そのうち13.5%が仕事につけないと答えたなど、海外の研究成果の紹介がありました。また、最近の北里研究所病院での傾向についても触れ、ホルムアルデヒドやクロルピリホスが原因である激烈な症状の発症者は少しずつ減っている一方、難燃剤、可塑剤、家庭用殺虫剤などに使われている有機リンが原因として目立ってきているとのことでした。
 次に、各共同研究者からの報告に移りました。CS支援センターからは、今年5月以降の入居状況などについて報告しました。3名の方々が2カ月間の転地療養を満了され、3名とも入居中は症状の変化はあったが比較的良好に推移しました。退居後のアンケートでは、3名とも「(入居前の症状とくらべて退居後の症状は、良いとも悪いとも)どちらとも言えない」、入居して「まあまあ満足(4段階評価で良い方から2番目)」とのお答えでした。そして、3名中2名が、再び旭川・一時転地住宅での転地を望んでいるとのお答えでした。退居後に、悪い環境へ戻らざるを得ない方もいらっしゃり、症状改善に結びつかない要因となっているようです。
 また、住宅の和室3室のうち2室について、畳に反応するという声があったため、冬総研がトドマツのフローリングに替えてくださったところ、木のにおいが苦痛という1名が入居後10日で退居されたこと、その他にも多くの患者から木のにおいが気になるとの指摘があったことが報告されました。
 さらに冬総研が暫定的な工事をしてくださったことで、水の量的な不足は解消されましたが、水質の問題で浄水機の管理費用がかさんでおり、対策が必要なことも提起しました。

再入居や、夫婦、親子での入居も
 この席で、CS支援センターは次の通り提案しました。

  • 現在2カ月である入居期間を3カ月に変更する(入居者が新しい生活に慣れて落ち着くまで、1カ月程度要するため)
  • 即時入居希望の方がいない場合、一度入居した方の再入居を認める(希望者数が季節等により減ることがあるため)
  • 現在の「女性のみ」という入居条件を緩和し、他の入居者とのかねあいで可能な場合は、男児を含めた親子、または夫婦の入居を認める

 以上につき、他の共同研究者の方のご理解をいただきました。入居のご希望は随時受け付けております。
 共同研究(3年間)は今年度が最終年度であることから、会議では報告のまとめ方についても協議されました。報告書を作成するほか、来年7月2、3日に旭川市内で開かれる第13回日本臨床環境医学会総会の終了後の市民公開シンポジウム(3日午後1時半からを予定)という形でも、3年間の活動について、報告することを確認しました。

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