会報第15号(2003.10.20)

 

伊豆・脱化学物質コミュニティー 盛大に起工式
   片山正男(CS支援センター理事)

 

てやんでえ、おら伊豆っ子だい!!
  小笠原親分、おら番頭(共にCS支援センター理事)は、中伊豆町商工会長、会員として20年近く一緒に活動してきました。町内の活性化、町外への文化の発信(?)、日本国中、水と緑だ空気だ、と過疎地は皆言います。これがおらが町の資源だ、と。しかし環境病とされるCSの患者の方、北里大の石川哲先生、宮田幹夫先生が、この場所ならと環境にオスミ付きをもらえたのは、おらが町です。患者の方が転地予定地に着くと、活性炭マスクを外します。更に近くの山葵(わさび)沢に行きますと早足で歩きます(ここに来ると家に帰っても何日か具合、いいんだよね)。
 田舎大好きの伊豆っ子の本領発揮、本当に嬉しく思います。9月20日には伊豆・脱化学物質コミュニティーの起工式となりました。ここに至るまでは、土地の取得、地元の理解、行政への説明等々ありましたが、ここでは省略。

オーナー、会員、地元のご理解で
 しかし町長が先ず理解、応援してくれました。共同住宅のオーナー募集には、御子息がCS患者の静岡市在住のO氏、奥様がCS患者の町内在住のU氏が、むずかしい融資に応じてくれました。又会員借入では合計2,550万円(9月現在)と、その金額もさることながら、50人もの皆様に御理解いただいてこそ迎えられた起工式です。
 起工式には患者の方2名、海瀬英治・中伊豆町長をはじめ各種団体長、町議会議員の方々、横田理事長をはじめ私達CS支援センターの仲間等々、盛大に式がとりおこなわれました。感激屋の私としては少し……感動……。
 式後、直会(なおらい)では、今結成に向けて活動し始めた、このコミュニティーへのサポート隊による患者の皆さんが食べられることを目指している食材、食品(焼き芋、里芋煮、手作りパン、豆腐、うで玉子や料理等々)で一杯。「食」が体の維持だけで無く、治療にまでなるよう、研究がんばります。
 とにかく事業はスタートしました。現地を案内した20代の患者の人の中には、自身の病気は理解できても、こんな田舎に住む気持ちになれない方もいますし、「私が一番CSの重症だ」と思っている方、日本中転地先を探して経済的にも大変な方もたくさんいます。病気が改善される事ももちろんですが、同じ悩みを持つ人のコミュニティー作りでもありたいと思います。とにかく前向きに、前向きに。
 追記 直会で余った芋やパンを茶袋いっぱいに詰めて伊豆箱根鉄道に乗られた茶袋隊の皆様、ご苦労様でした。食材、食品の開発ができましたら又、ご用意します。


旭川・化学物質過敏症一時転地住宅 入居期間を3カ月に延長
   網代太郎(CS支援センター事務局長)

 

 化学物質過敏症一時転地住宅(北海道旭川市)での転地療養についての共同研究者の全体会議が10月6日、都内で開かれ、前回会議(昨年12月)以降の経過が報告されました。
 会議ではまず、北里研究所病院臨床環境医学センター長の石川哲先生が、化学物質過敏症についての最新情報をご報告してくださいました。米国アトランタ州ジョージア市民から無作為に選んだ1582人にCSがあるか調査したところ、12.6%がCSで、そのうち13.5%が仕事につけないと答えたなど、海外の研究成果の紹介がありました。また、最近の北里研究所病院での傾向についても触れ、ホルムアルデヒドやクロルピリホスが原因である激烈な症状の発症者は少しずつ減っている一方、難燃剤、可塑剤、家庭用殺虫剤などに使われている有機リンが原因として目立ってきているとのことでした。
 次に、各共同研究者からの報告に移りました。CS支援センターからは、今年5月以降の入居状況などについて報告しました。3名の方々が2カ月間の転地療養を満了され、3名とも入居中は症状の変化はあったが比較的良好に推移しました。退居後のアンケートでは、3名とも「(入居前の症状とくらべて退居後の症状は、良いとも悪いとも)どちらとも言えない」、入居して「まあまあ満足(4段階評価で良い方から2番目)」とのお答えでした。そして、3名中2名が、再び旭川・一時転地住宅での転地を望んでいるとのお答えでした。退居後に、悪い環境へ戻らざるを得ない方もいらっしゃり、症状改善に結びつかない要因となっているようです。
 また、住宅の和室3室のうち2室について、畳に反応するという声があったため、冬総研がトドマツのフローリングに替えてくださったところ、木のにおいが苦痛という1名が入居後10日で退居されたこと、その他にも多くの患者から木のにおいが気になるとの指摘があったことが報告されました。
 さらに冬総研が暫定的な工事をしてくださったことで、水の量的な不足は解消されましたが、水質の問題で浄水機の管理費用がかさんでおり、対策が必要なことも提起しました。

再入居や、夫婦、親子での入居も
 この席で、CS支援センターは次の通り提案しました。

  • 現在2カ月である入居期間を3カ月に変更する(入居者が新しい生活に慣れて落ち着くまで、1カ月程度要するため)
  • 即時入居希望の方がいない場合、一度入居した方の再入居を認める(希望者数が季節等により減ることがあるため)
  • 現在の「女性のみ」という入居条件を緩和し、他の入居者とのかねあいで可能な場合は、男児を含めた親子、または夫婦の入居を認める

 以上につき、他の共同研究者の方のご理解をいただきました。入居のご希望は随時受け付けております。
 共同研究(3年間)は今年度が最終年度であることから、会議では報告のまとめ方についても協議されました。報告書を作成するほか、来年7月2、3日に旭川市内で開かれる第13回日本臨床環境医学会総会の終了後の市民公開シンポジウム(3日午後1時半からを予定)という形でも、3年間の活動について、報告することを確認しました。

 

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